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ディズニー「ファストパス」を批判する

東京ディズニーリゾートの「ファストパス」について東京ディズニーランドパーク運営の元スーパーバイザーとして意見します。結論は導入すべきではなかったということであり、その理由はゲストの満足度を下げ、リピーター率を低下させるからです。
 
昨日(4月16日)の記事を引用します。
 
ディズニー「ファストパス」導入が永遠に変えた事 アトラクションは「早い者勝ち」だったはずが | 経営 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
 
「ファストパス」でゲストの経験を向上
 
そこでディズニーの出した答えが、のちに「ファストパス+」と呼ばれるようになる待ち時間短縮パスだった(パンデミック中はファストパス+の発券は中止され、さらに2021年8月に正式に廃止されて、代わってさまざまな有料の優先搭乗サービスが導入された)。
ゲストは希望のアトラクションまたはショーを3つまで選び、事前にパスを取得する。パスは無料だが、指定時間枠内に使わなければならない。行列は大嫌いというゲストや事前に計画を立てておきたいというゲストは、パスを活用すると長蛇の列の一部をスキップできる。
 
パスを取得したゲストは、そこらを見物したり、あまり待たずに乗れるものを楽しんだりし、時間が来たらお目当てのアトラクションに出向いてファストパス+専用の短い列に並んで満喫する、というしくみだ。
<中略>
 
だがファストパス+のほんとうのマジックは、人々をパークに長い間滞在させる効果があることだ。その間に、ただ行列待ちをしていたときよりも多くのお金を使わせることができる。
<中略>
 
第三の効果は少々わかりづらいが、ディズニーにとってはおそらく今挙げた2つ以上に価値がある。それは、早い者勝ちがアトラクションの順番を決める唯一無二のルールではないという事実にゲストたちを慣れさせたことである。ファストパス+は、明確に正当化された限定的な割り込みが存在しうること、自分たちもその割り込みの権利を取得できることを人々に教えたのである。
<引用終了>
 
ディズニー・ファストパス - Wikipedia
 
アトラクションの1時間当たりの収容人数(理論的ライドキャパシティ)は決まっています。乗り物の定員に1時間に何回発進するか、つまり発進回数を掛け算するだけですから。
 
ファストパスが導入されても収容人数に変化はなく、ファストパスを持たないゲストの待ち時間は増えることになります。たとえば1時間に2000人が乗ることが計算されるアトラクションに、仮に2割の400人がファストパスを利用すると、1時間当たりの収容人数は1600人に低下します。
 
このことはファストパスを持たないゲストの待ち時間を1,2倍に増加させることを意味します。60分待ちで済んだ待ち時間が72分待ちとなり、ファストパス対象の人気のアトラクション全てで待ち時間の増加につながります。
 
入場制限実施日であれ1時間に1回、8時間に8回のアトラクション利用が可能なように東京ディズニーランドは設計され、滞留者数をコントロールできていましたが、ファストパス配布終了後に入場したゲストなどは、待ち時間が2割増えると、利用回数が2割落ちます。
 
1人のゲストが8回分のファストパスを入手することは不可能でしょうから、パーク入園者全体のアトラクション利用回数は減り、エンターテイメントショー待ち時間や商品、食堂施設での滞在時間が増えることになり、結果的に上掲の引用文のようにパーク滞在時間も増加していると考えられます。
 
このようにして飲食などの回数を増やし、客単価を引き上げる、これがディズニー(オリエンタルランド)側の狙いと私は思っています。
 
さらに、です。追加料金を支払えばアトラクションを優先利用できるようにもなったとか。
 
以前に  入園料値上げと回収問題 ウォルト・ディズニーはカンカンに怒っている|中村むねひら (note.com) を投稿しましたが、この件に関してはこれからもnoteで批判していく所存です。

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