見出し画像

待合室

 息子は、保育園へ通うようになってから、目やにが出るようになってしまった。眼科で診てもらうと、鼻涙管が細くて詰まりやすいのが原因で、成長すると管が太くなって自然に治ることが多いので、最近はすぐには手術せず様子を見るようになっているとのこと。息子も目薬を使いつつ様子見することになった。
 というわけで、眼科の常連になったが、朝の眼科はとても混んでいるし、待合室は大人ばかり。幸い、息子は近くの防災広場の井戸が大好きだし、少し歩けば戸越公園もあるので、受付の方に待ち時間を聞いて、外で遊びながら待つようにしていた。

 しかし雨の日はこの手が使えない。息子は待合室では絵本が置いてある本棚と椅子を往復したり、飾ってあるケロヨンに手をのばしたり、いかにも乳児の振る舞いをする。
 座って待っているご婦人の前を何度も通るので、そのにこやかに見ているご婦人に
「すみません、元気が良すぎて」
と頭を下げると
「元気がないと、困っちゃうわよ」
と言われて、はっとした。本当に、その通りだった。

 そのうち、息子は元気なまま3歳になり、お医者さんから言われたとおり、目やにはいつの間にか出なくなった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?