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話しかけられる日

 よく晴れた日、ブーブー公園の隅で3歳の息子がシャボン玉をしていると、上から声が降ってきた。
「ああ、シャボン玉。」
「ほらもっと、もっと。」
どこから聞こえてくるのだろう。
「ほら、こっちだよ~」
見上げてみると、
「あ、あそこから。」
なんと、向かいの家の2階のベランダから、ご婦人が息子に話しかけてくれていたのだった。

 2階に届くように、何度も大きく息を吸ってはシャボン玉を吹いていると、ゴミ収集車がゆっくりと角を曲がってきた。開いた窓から作業員さんが顔を出して、
「よく飛ぶねえ。」
と息子に声をかけて、すぐに通り過ぎていった。

 シャボン玉や乗り物遊具でお腹が空くまで遊び、家路につくと、交差点で信号待ちしている料亭秀の車があった。白いドアにお料理が描いてある車の中から
「こんにちは。」
と運転手さんが声をかけてきた。お料理の絵を指差して
「美味しそうでしょ。」
息子は絵をじっと見ている。
「お母さんの言うこと、よく聞くんだよ。」
と言ったところで信号が青に変わり、
「バイバイ。」
と手を振って車は走り去っていった。息子も手を振った。

今日は、そういう日だった。


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