藤原和博さん

名刺を渡した瞬間に「終わっ」てしまう

藤原和博さんから面白いことを聞いた。

「名刺交換するときは、名刺を渡してはいけない」

まずは自己紹介しましょう、と。
名刺に語らせるのではなく。
そして、

「起承転結の『転』から始めること」

「あっ(名刺を差し出すときの気合い入れの有気音)、早稲田大学の村田で〜す。
今日はお忙しいところすいませ〜ん。よろしくお願いしま〜す」

だいたいこれ。「起」「承」「結」。「転」なし。
そりゃそうだ、「転」は、「ところで、」から始まる。
「転」を入れると、どうなるか。

「あっ、早稲田大学の村田で〜す。今日はお忙しいところすいませ〜ん。
ところでわたし、毎朝3時に起きるんですよ。何時に起きます? 
ええ、寝るのは10時ですね〜。11時のときもあります。
だから飲み会つらくて〜。17時から始められたら最高ですけど、
それってたいがいリタイアしたじいさんたちと同じ時間帯なんですよね〜。
もちろん、起きるのも、じいさんたちと同じ時間帯ですけど〜〜(笑)。
すいませ〜ん、余計なこといいまして。
よろしくお願いしま〜す」

この「余計なこと」が、初対面の人からすると、
「敵か?味方か?」の警戒感を解きほぐし、
「この人は味方だ」
という感情を起こさせる。

「なんで3時起きなんですか?」
から、コミュニケーションも始まるときもある。

相手も、4時ラー、5時ラー、だったら。
「早起き、いいですよね〜」
と意気投合。

逆に、朝は苦手、かもしれない。
「どうやったら早く起きられるんですか?」
と尊敬のまなざし。

一方、起承結、「あっ」から名刺を差し出すと、
その瞬間から相手は「どこそこ会社の誰さん」、
という情報処理は始まり、それで終わってしまう。

「こんにちは〜、毎朝3時に起きる村田信之です。よろしくお願いします」
その瞬間から相手は「なんで?」「同じだ?」「どう対処しよう」
という情報編集が始まり、
通り一遍の名刺交換ではなく、
自己紹介が行われるようになる、
「可能性が高い!」

と、藤原さんはいう。
「すべっても、すぐに名刺を差し出せば、
通り一遍の名刺交換でリカバリーできて、
事なきを得ます」

初対面での名刺交換は、
「どこそこのだれそれ」
という自分説明ではなく、
「この人は味方だ」
と気づかせる自分プレゼンテーション。

以上、例によって「朝渋」でのイベントで学んだこと。

この記事が参加している募集

自己紹介