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異次元の「はたちのつどい」

市民ホールにごちゃっと若者がいた。
振り袖とスーツ。
「はたちのつどい」だった。

200人以上が集まっていた

釜石であんなにたくさんの若者を見たのは初めてだった。
近くに高校の学習コーディネーターをしているヤギちゃんがいたので、
「こんなにいるの?」
って聞いたら、
「そうなんですよね〜」
彼も高校の制服姿以外の若者をどっさり見るのは久しぶりらしい。

「はたつのつどい」は
「成人の日を記念し、はたちを迎える若者の門出を祝うとともに、若者主体による活力あるまちづくりへの期待と意欲を表す機会とする。」
を趣旨としている。(釜石市ホームページより)

参加者は、
2020年 257人
2021年 オンライン
2022年 228人
だから、今年も200人以上が集まっていたんだろう。

彼ら彼女らのほとんどが、
釜石市以外で暮らしている。

高校卒業=さよなら釜石

釜石には高校がふたつある。
釜石高校と釜石商工高校で、
2020年、釜石高校は卒業生156人のうち、138人が進学している。
釜石には大学も短大も専門学校もない。
だから、138人は全員釜石から離れて暮らしている。

同じく2020年、釜石商工は卒業生94人の80.9%が就職。
そのうち50%は釜石で就職しているが、
50%は釜石以外のまちで働いている。
進学した19.1%はもちろん、釜石ににはいない。

こうした人たちが、「活気あるまちづくりへの期待」を受けている。
期待された彼ら彼女らが、活気あるまちづくりへ意欲を示したかどうかはわからないけれども、
国連の調査によると、2007年に生まれた人の半分は107歳まで生きると予想されている。
2002年あたりに生まれた彼ら彼女らも、同じようなものだろう。

だとすると「ライフシフト」で、
これまでは<教育→仕事→引退>といったライフステージ進行だったが、
これからは<教育→【仕事・学び・起業・副業(サブキャリア)・複業(マルチキャリア)・複数拠点生活】→引退するかも>になる。

ライフシフトするから考え方を変える

そうであれば、
「大学卒業したら釜石に帰っておいで」
じゃなくてもいいわけで、
「卒業して就職して、いつかは釜石に帰っておいで」
というぼんやりと提示して期待するよりも、
「べつに帰ってこなくても、仕事ができる環境をつくっておく」
「自分で起業できる力をつけられるようにサポートする」
「仕事しながら子どもを育てる最高の条件を整える」
とか、釜石に帰ってくる意欲がわくような、
これまでにない異次元の若者政策があればいいな、と。
いや、政策を実際につくらなくても、
大胆に検討を進めると声高にアナウンスするだけでもいいんだ、と
「はたちのつどい」からでてきた若者たちを思い出しながら思った。