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ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時

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小説『ティルドラス公は本日も多忙』第5話。第1~4話及び付随音楽「『ティルドラス公は本日も多忙』のための音楽」も、それぞれ別マガジンとしてまとめています。併せてお楽しみ下さい。
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記事一覧

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(0)

第〇章 これまでのあらすじ  群雄割拠の中で戦乱が続く大陸・ミスカムシル。一介の兵士から…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(1)

第一章 ケーシを後に(その1)  十月に入り、この地の早い秋の深まりが肌に感じられるよう…

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ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(2)

第一章 ケーシを後に(その2)  帰国の準備を進めつつ、こうした付き合いもこなさねばなら…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(3)

第一章 ケーシを後に(その3)  この御苑を初めとする王宮内の遊休地を仕事もなくぶらぶら…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(4)

第一章 ケーシを後に(その4)  こうして数日後、親王家でティルドラスを送別する内輪の宴…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(5)

第一章 ケーシを後に(その5)  「と言いますと?」  「ここにはさまざまな人間がやってく…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(6)

第二章 帰途の出来事(その1)  オーネドゥマルの港から船に乗ったティルドラス一行は、風にも恵まれ、四日でピウ湖を縦断して無事トーサラーの港に到着する。陸路をたどれば半月以上かかる距離であるから、大幅に日程が短縮できたことになる。  この地で一度船を下りたあと、今度は喫水の浅い川船に乗り換え、モイ河を下ってミストバル家の国都・サッケハウまで旅することになる。こちらも陸路で十日ほどの行程が三分の一の日数で到着できる見込みで、国元でサフィア一派の専権が強まっている今、なるべく帰

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(7)

第二章 帰途の出来事(その2)  イスハークはさらにティルドラスの謙譲と慈愛を褒め、短期…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(8)

第二章 帰途の出来事(その3)  船旅は今回も順調で、四日目の朝に船はサッケハウの港に到…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(9)

第二章 帰途の出来事(その4)  「侯爵は何と答えられたのです?」  「ハッシバル家の家督…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(10)

第二章 帰途の出来事(その5)  サフィアからの国権の奪還はあくまでティルドラス自身が自…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(11)

第三章 シンネタイの変事(その1)  後に「嵐の年」と呼ばれるミスカムシル歴二八二二年だ…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(12)

第三章 シンネタイの変事(その2)  ドゥーガルが跡目をミギルに譲って伯爵の位を退くこと…

ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(13)

第三章 シンネタイの変事(その3)  しかし、オドゥールに従っていた者たちの全てが彼らのように逃げ延びられたわけではない。突然のことに方針が定まらず逡巡する間に逃げる機会を逸した者、ディディアックの助言を拒んでミギル派と一戦交える道を選んだ者たちもいた。翌日からシンネタイの街中では そうしたオドゥール派の者たちと、ミギル派、そして彼らを支援するトッツガー兵との戦闘が散発的に行われる。  戦闘というより実態は一方的な掃討だった。ディディアックが察した通り、カフトは宮廷の掌握と