MURA Tadasi (村 正)

北海道在住。本業は海洋生物の研究職。自作の小説・音楽の発表ほか、見聞レポート、雑感その…

MURA Tadasi (村 正)

北海道在住。本業は海洋生物の研究職。自作の小説・音楽の発表ほか、見聞レポート、雑感その他なども、いろいろと投稿しています。 noteのほか「ノベリズム」でも作品を発表しています。 https://novelism.jp/user/111822/

マガジン

  • 週末隠者

    北海道某市の森の中、週末・休日中心のプチ隠者生活の記録です。

  • MURA Tadasi's Photo Gallery

    あちこちで撮った写真を集めました。鑑賞用ではなく、資料写真的なものが中心です。創作活動や調査研究の資料としてお役立ていただければ幸いです。 I am assuming that these photographs will be used as image data, rather than artistic photographs. I wish that they will be useful for many creators and researchers.

  • 時事無斎ブックレビュー

    本・マンガ、そして時に映像作品や音楽についてのレビューです

  • エレバン放送第37日本支局アーカイブ

    「エレバン放送第37日本支局」の過去記事及び関係資料集です

  • 時事無斎雑話

    創作・レビューの余りネタ、日々の雑感などを、折に触れて書いていく予定です。

最近の記事

隠者の竈(かまど) ロケットストーブ製作記(実践編) 【週末隠者】

 ロケットストーブ付きの竈は完成しました。道具も(自作や代用品も含め)一通り揃いました。とりあえず準備は完了です。 ※ロケットストーブの原理についてはこちら ※竈の作成と必要な道具についてはこちら  ただ、私の庵の周囲はキャンプ場や住宅街のような管理されたスペースではありません。竈そのものは家の横の開けた場所にあり、周囲は溝で囲まれていて火も燃え広がりにくいとはいえ、少し離れればそこはもう雑木林、一歩間違えば山火事になる危険があります。そうなっては大変なので、あらかじめ

    • 隠者の竈(かまど) ロケットストーブ製作記(製作編) 【週末隠者】

       前回は「ロケットストーブ」とはどのようなものか、その原理について説明しました。それを踏まえて、いよいよ実際の制作にかかります。以下、自分でもやってみたい読者の方の参考もかねて手順を説明します。 ※前回はこちら  まず設計です。どうせならロケットストーブだけではなくいろいろな用途に使えるものをと思い、【図1】のような竈を考えてみました。まずAの部分がロケットストーブの本体で、通常の煮炊きに使います。次にBの部分に少し広いスペースを設けて、ロケットストーブから出た熾火や消し

      • 隠者の竈(かまど) ロケットストーブ製作記(理論編) 【週末隠者】

         家を買った当初、暖房用の石油ストーブと屋外設置の灯油タンクは最初から付いていたものの、風呂・給湯用の灯油ボイラーは壊れて動かず、ガスの設備は付いていない状態でした。  最初は頭だけ水で洗ったり5kmほど離れた温泉に車や自転車で通ったりしていましたが、さすがに山仕事や畑仕事の後に汗や汚れを落とせないのは辛く(注1)、自転車での温泉通いも雪が積もる冬にはできない上に帰り道の登り坂で汗だくになって結局意味がないことに気付き、さらに冬の0℃近い冷たい水で洗髪や洗い物を行うことにも限

        • 隠者の食卓 野草でプデチゲを作る 【週末隠者】

           私が庵を構えるD市は大きな街ではありません。生活に必要な施設は一通り揃っているものの、コンビニや深夜営業のラーメン店を除けば夜遅くまで営業しているお店はほぼ皆無です。当然、例えば夜遅くに車でやって来たような場合、買い物も食事もままなりません。しかも家自体が街の中心部からだいぶ離れた、急の買い物には不便な場所にあります。  いちおう夜中に身一つで到着しても食べる物だけはあるように、レトルト・インスタント食品や缶詰類はある程度ストックしています。ただ、それをそのまま食べるだけで

        隠者の竈(かまど) ロケットストーブ製作記(実践編) 【週末隠者】

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        • ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時
          22本

        記事

          週末隠者(序) 隠者入門

           突然ですが、この文章を読んでいる方の中で「隠者」の生活に憧れる人はどの程度いるのでしょう。  実は私自身は子供時代から「隠者」への憬れのようなものがありました。もともと人付き合いが苦手で、他人と離れた場所で独り遊ぶのが好きだったこととも関係があるかもしれません。子供時代の愛読書も、今思い起こせば『ロビンソン=クルーソー』や『二年間の休暇』などの漂流ものがけっこう含まれていたと記憶しています。  長じてからもその傾向は変わらず、就職して多少の蓄えができてからは、あちこちの不動

          週末隠者(序) 隠者入門

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          雪の知床連山 Shiretoko Mountain Range covered with snow

          雪の知床連山 Shiretoko Mountain Range covered with snow

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          時事無斎ブックレビュー(12) 私的マンガ・アニメ時評2023

           見返してみると、前回のブックレビューからいつの間にか1年が経ってしまったようです。むろんその間何も読んでいなかったわけではなく、いろいろと紹介したい本もあるのですが、今回は前回に続き、2023年に出会った漫画・アニメの中からお奨め(そして関連作品)をピックアップしたいと思います。 ※前回はこちら 時事無斎ブックレビュー(11) 私的マンガ時評2021~2022MURA Tadasi (村 正) (note.com) 1.『オッドタクシー』(木下麦監督、ポニーキャニオン

          時事無斎ブックレビュー(12) 私的マンガ・アニメ時評2023

          エレバン放送第37日本支局「アネクドート・ニッポン」 問:トランプ前大統領にとって故アベ首相が信頼する友人だったという保守派メディアの報道は事実でしょうか? 答:トランプのようなタイプに「信頼」や「友情」は存在しません。自分の横暴にも卑屈に迎合してくれる便利な下僕だったのです

          エレバン放送第37日本支局「アネクドート・ニッポン」 問:トランプ前大統領にとって故アベ首相が信頼する友人だったという保守派メディアの報道は事実でしょうか? 答:トランプのようなタイプに「信頼」や「友情」は存在しません。自分の横暴にも卑屈に迎合してくれる便利な下僕だったのです

          時事無斎雑話(24) 観察レポート・路上のゴミ拾い

           以前書いた通り、定期的に通っている検診で軽度の脂肪肝と診断されています。もともと体を動かすこと自体は嫌いではないため、減量を兼ねて、4キロ離れた職場まで春から秋までは自転車、雪が積もる冬は徒歩で通勤するようにしています(注1)。  毎日職場への道を歩いていて気付くのは、路上に落ちているゴミの多さです。古いものから新しいものまで雑多なゴミがあちこちに散らばり、しかも誰も拾わないまま日ごとに増えていきます。特に環境への悪影響が大きいプラスチックゴミ(以下プラゴミ)(注2)がかな

          時事無斎雑話(24) 観察レポート・路上のゴミ拾い

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(20)

          第四章 ヒルエンラムの小さな事件(その5)  「なるほど、女の縁で召し抱えられた者か。」嘲るように言ったあと、ユーキンはやや不審げに、ちょうど縛られたまま船から下ろされたケロスたちを振り返る。「時にストークとやら、この者たちは何者だ。アルイズン家の者には見えぬが。」  「ハッシバル領へと向かう絹商人よ。折良く道中の用心棒に雇われる話があったので乗ったのだ。」務めて投げやりな口調でシクハノスは答える。商人の一家を装ったケロスたちの中にはオクタヴィアがいる。せめて彼女だけは、自

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(20)

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(19)

          第四章 ヒルエンラムの小さな事件(その4)  そして決行の当日がやって来る。屋敷を抜け出すのはミレニアの夕食の直後。夕食が終わり彼女が自室に戻れば翌日の起床時まで周囲の者たちによる動静の確認はない。つまり翌日の朝までは屋敷を抜け出したことに気付かれずに済むということである。  事前に申し合わせた通り、早めに夕食を終えたミレニアは「今日は早く休む。」と周囲の者たちに告げて自室に閉じこもる。一方のディミティラは、自分の部屋には戻らず、こまごまとした用事をこなしながら辺りの様子を

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(19)

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(18)

          第四章 ヒルエンラムの小さな事件(その3)  そして三日後の夕刻、シクハノスは投げ文にあった街外れの廃寺に一人で出向く。  塀の破れ目を乗り越え、地面を覆う枯れ草を踏んで荒れ果てた本堂にたどり着き、壊れかけた扉を開けて中に入ると、頭巾で顔を覆った一人の女性がそこに待っていた。「アルイズン家の遺臣の方でございますか?」シクハノスの姿を認めて女性は口を開く。  「どなたかな? まずは名乗られよ。」油断なく周囲を見回しながらシクハノスは言った。  「申し遅れました。私の名はディミ

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(18)

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          新釧路川の川霧 Foggy Shin-Kushiro River

          新釧路川の川霧 Foggy Shin-Kushiro River

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          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(17)

          第四章 ヒルエンラムの小さな事件(その2)  ミレニアを連れて行在所を抜け出し、二人でハッシバル領を目指すことも考えた。だが、道もろくに知らない女二人連れが案内も護衛もなしに闇雲にハッシバル領に向かったところで、無事にティルドラスのもとにたどり着けるとは思えない。かといって、自分たちに協力してくれるような人間は周囲に一人として見当たらない。  良い考えが浮かばぬまま、ディミティラは荷物をまとめ、それを抱えて行在所の敷地の中にある別の建物へと向かう。  同じ行在所といっても大

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(17)

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(16)

          第四章 ヒルエンラムの小さな事件(その1)  ヒルエンラムはトッツガー家の国都・アシュアッカから南西方向に徒歩で十日ほどの距離にあり、「丘の岬」を意味するその名の通り、海に臨む丘陵に沿って広がる街だった。  ここはトッツガー家発祥の地である。本来トッツガー家はヒルエンラムを中心に小さな勢力を持っていた土豪の家柄で、ミスカムシル最大の勢力を誇る大国となった今も、この地は父祖の地として一族の聖地であり続けている。  この地には代々のトッツガー家の先祖を祀った霊廟があり、一族の男

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(16)

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(15)

          第三章 シンネタイの変事(その5)  オクタヴィアを伴ってコーチスの城から落ち延びたシクハノスは、逃避行の末にこのケンプクトンにたどり着き、そのまま潜伏していたのである。落城に巻き込まれなかった数人の同志とこの地で運良く連絡を取ることができ、彼らと合流したものの、路銀が乏しく今後どうするかを相談しているところだった。  「貴公はコーチスの戦で死んだと聞いておったが――。」  「公女をお連れして密かに落ち延びるよう、殿から命じられたのだ。」ディディアックの言葉にシクハノスは答

          ティルドラス公は本日も多忙⑤ 嵐の年、国滅ぶ時(15)