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組織屋が考える、イスラエル・パレスチナ問題 ~企業組織に置き換えると~

2023年10月12日現在、イスラム組織ハマスがイスラエルに攻撃を開始して以降、相互に攻撃の応酬が続いています。
長期にわたって、イスラエルとパレスチナは厳しく対立してきましたが、今回は和平への流れを嫌った勢力が武力行使したとも言われており、先の見えない混迷が続いています。

イスラエル・パレスチナ双方の被害を受けた市民がTVに映し出され、相手のことを声を荒げて罵り怒る姿=憎しみの連鎖に、私は陰鬱な気持ちにさせられます。

イスラエルは、ガザ地区への報復攻撃を続けており、一般市民が犠牲となっています

この問題については専門家にお任せするとして、組織屋である私がどう企業組織の教訓として学べるかを考えてみます。(現在進行形で人命が懸かっている事案を取り上げるのは良くないと思いつつ、学びのために敢えて取り上げました)

まず構造として、そこらじゅうの企業組織の中で同じことが起こっていることを強く伝えたいと思います。

分かりやすく具体的な例で言うと、営業部のAさんと管理部のBさんの間で同じ構造が発生しているということです。
このAさんは営業で大活躍していて、難攻不落のお客様にも公式・非公式の手を使って仕事を取ってくる人材とし、Bさんはキッチリしていてミスがなく、お金まわりにも厳格で、周囲に対して世話を焼いて頼りにされる人材と置いてみましょう。
ただ、BさんはAさんに「経費精算の締切をAさんが守らないので、いつも業務全体が滞ってしまう」という不満を持ち、逆にAさんはBさんに「自分が死必死で受注しているのに、ガチガチなルールを盾に足を引っ張ろうとする」と不満を持ってたりします。

お互いが会社のために全身全霊を懸けて頑張っているのに、すれ違いにより相互不信の状態になっているわけですね。言い方を変えると、お互いに正義があるわけですね。

なぜこれが起こるのか? それは組織の宿命的な構造によるからです。
『組織は、立場・役割によって、見えるものが違う』
このセオリーを知らないと、それぞれの立場・役割の正義を振りかざし、非効率が発生したり、感情的なもつれが起こったりします。(ここでは一旦、部門や職種によって違いがあると思っていただくと良いと思います)

組織内では
「こう自分には見えてるんだから、これが正しい」
「こう見えているのに違うことを言っているあいつは間違っている」
となりがちですが、そもそも見えているものが人によって違います。

人間の脳は、自分の興味あるものしか認識しないという特徴があります。
例えばですが、皆さんが自宅から最寄り駅に行くまでに「駐車禁止」の標識が幾つあるか分かりますか? 恐らく分かる人は少数派だと思います。
なぜならほとんどの場合、我々はその標識を気にしてないからです。見えているはずなのに、認識していない。これが我々の日常で起こっている訳ですね。つまり我々はよっぽど注意深く物事を見ないと、偏って認識するということです。ただでさえX(旧Twitter)などのSNSで選別された情報に触れているので、相手とは違うものに触れていることに意識的になる必要があります。

組織は、実現したい目的・目標に対して1点に力を集約していくことで、達成に近づきます。そのためには立場・役割を越えて違いを認め合うことが大切になってきます。
組織の中には『間違っている人』はいません。組織の中に『違っている人』はいます。組織では常に『間』に問題が発生します。この『間』の問題を解決するためには、お互いが歩み寄って相手に敬意を持ってコミュニケーションすることが第一歩なんだと思います。

相手との溝を越えることなく、互いの立場で言い合う姿

今回は立場・役割といった『ヨコ』の話をしましたが、経営陣・ミドルマネジャー・現場社員という『タテ』でも見えているものが違います。もっと細かく見ると、入社年次・男女・新卒中途・本社支店などでも同じことが起こっています。

私もそうですが、意見の違う相手から文句や不満を言われると、イラっとする気持ちも分かります。ただ、我々は『自分の当たり前は、相手の当たり前ではない』ことに自覚的となり、相手から見える世界に想像を膨らましながら、Win-Winになる解決策を考えていくことに価値があると思います。
リソース的な問題や感情的な問題など、様々な乗り越えるべき問題が横たわっていますが、「何故この人はこう思っているんだろう?」を出発点として考えるのが筋が良いのではないかと思います。

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