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スタッフに機会を与えるとき、マネジャーに必要な覚悟とは何か?

私は現在、全国病院経営管理学会リハ専門委員会の正幹事を務めています。リハ専門委員会では、リハ専門職で学会の個人会員の方を対象として今年度からオンラインサロンを始めました。オンラインサロンは、年3〜4回の頻度で、1回あたり1時間程度、さまざまな意見交換を行なっています。
 昨夜のオンラインサロンでは、スタッフへの機会の与え方についてが話題となりました。育成を目的としてスタッフに機会を与えても、結局その尻拭いをするのは機会を与えたマネジャー自身となりがちです。つまり、高い完成度を追求するマネジャーほど、スタッフに機会を与える度に疲弊してしまうのです。

私の個人的な考えでは、「スタッフに機会を与えることは育成に不可欠です。しかし、与えた機会を必ず成功に導く必要はない」と考えています。
 もちろん、失敗してはいけない機会をスタッフに与えた場合は、この限りではありません。ただ、失敗が育成を助けることもあるでしょうし、マネジャーが考える失敗が失敗でない可能性もあると思うのです。

エラーレスラーニング(Errorless Learning)とは、失敗しない(させない)行動療法で、誤りなし学習とも言います。私は作業療法士として、認知機能が低下してしまった方に対してエラーレスラーニングを採用し、これまでできなかった生活行為ができるようになった方をたくさんみてきました。ただし、退院などで環境や状況が変わったときには元に戻ってしまう方がいました。それはおそらく、エラーレスラーニングは環境や状況に依存した行動療法であり、多様な環境や状況の変化を伴う人の生活には、その成果に限界があるのではないかと考えました。
 つまり、「マネジャーが、機会を与えたスタッフが絶対に失敗しないように綺麗に尻拭いを続けることは、エラーレスラーニングに近しい」のではないかということです。これが、スタッフがいつまで経っても環境や状況が多様な環境で最適解を導くことができるようにならない要因の一つではないかと考えています。

マネジャーが育成を目的としてスタッフに機会を与える場合、必要なのは「尻拭いをする覚悟」ではなく、「一緒に(安全に)失敗してあげる覚悟」ではないかと私は考えています。
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