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なぜリハビリテーション目標を共有する医療面接を繰り返す必要があるのか?

 今日は、理学療法士と作業療法士の国家試験の合格発表日です。合格された方、本当におめでとうございます。合格されなかった方、これが人生の全てではありません。国家試験の挫折を知っている素晴らしいリハ専門職を私は何人も知っています。切り替えていきましょう。さて、本日は先日後輩から質問された、私が考える医療面接のあり方について整理したいと考えます。

 私は、リハビリテーション目標を共有する医療面接は日々繰り返す必要があると考えています。それは何故か?
 それは、対象者が表出する目標は状況によって変化すると感じるためです。その状況とは、①医療者と対象者との関係、②対象者が持つ情報の2つに影響されると感じています。

 まず、医療者と対象者との関係について触れます。想像してみてください。十分な関係性が構築されていない人に対して、リハビリテーションで実現したい具体的な目標を丁寧に説明しますか?
 おそらく、たとえ具体的な目標があったとしても、「こんなこと言ったらどう思われるだろうか?」とか、「こんなプライベートのことまで話したくないな。」等と感じて、当たり障りない、抽象的で表面的なことに留めてしまうのではないでしょうか。これを一言で表現すると、具体的な目標設定には、『ラポールの構築』が必要であると考えることができます。なお、ラポールとは、リハ専門職と対象者の相互の信頼関係のことを言います。

 次に、対象者が持つ情報の内容について触れます。これも想像してみてください。自分の障がいがどのような経過をたどるかもどこまで改善するかもわからない状況で、具体的な目標をイメージすることができますか?
 おそらく、障がいの予後を理解している方からしたら、現実性に乏しく突飛と感じる目標をイメージしてしまうのではないでしょうか。これを一言で表現すると、具体的な目標設定には、『情報の非対称性の改善』が必要であると考えることができます。なお、情報の非対称性とは、リハ専門職と対象者が持つ情報に差があることを言います。

 ラポールの構築も情報の非対称性も、リハ専門職が意識的に行えば対象者と関わるたびに良い方向へ変化していきます。これはつまり、対象者がリハ専門職に表出する目標も次第に具体的なものに変化し得ることを意味します。だから、リハビリテーション目標を共有する医療面接は日々繰り返す必要があると私は感じるのです。

 リハ専門職が対象者と関わる時間には限りがあります。そう考えると、対象者の練習の合間の休憩時間に交わす会話の内容も、ラポールの構築と情報の非対称性の改善に影響を与えるものを意識する必要があると私は考えています。

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