「早く、早く」が招く無数の悲劇

人は基本的に待つのが苦手だと思います。待つの全然平気、っていう人も中にはいるかもしれませんが、基本的には嫌いな人が多いと思います。交通機関の少しの遅延にもイライラし、お店で出てくるお料理が遅いとイライラし、彼氏がプロポーズしてくれないとイライラし、お金がすぐに入ってこないとイライラする。「早く!早く!待ちたくない!」というのが現代人の基本的性質の一つだと言えると思います。

これは自分自身にも当てはまるなと思います。スピ系かじっている人は「思考はすべて現実化する」とか、耳にタコができるくらい聞いていますから、「まだ実現化しないのかな」といつも思いがち。それは手に入れたいものに関すること、執着しているものについて顕著で、今は収入が少ないので「早くこれ、という収入源が欲しい」というのが一番の望みですが、以前は結婚願望や彼氏欲しい願望が強い時があったので、「早く彼氏欲しい」と思っていた時期もありました(遠い目)。

「早く早く」と思いすぎると、ろくなことがないんだな、ということが経験上腑に落ちてきています。就活の時もそうです。就活生は「早く内定が欲しい」と思いがち。そうするとなんとなく受けた会社で内定をもらうと、もうそこでいいかなって気になる。それでその会社に就職する…。「就職した理由:一番早く内定をくれたから」っていう人はかなり多いのではないでしょうか。若者は3年で辞めると言われて久しいですが、その辺りも理由の一つではないかと思います。また、「早く食べたい」と思うからインスタント食品を食べます。その代償として添加物に身体をむしばまれているのですが、その時のインスタントな欲求を満たすことが優先されます。周りが結婚し始めたからと、「早く結婚したい」と焦って結婚相手を探すこともあります。そこでなんとなく付き合い始めた人とすぐに結婚したりします。もちろんうまくいくこともたくさんあるでしょうが、就活と同じで「彼と結婚した理由:すぐに結婚してくれそうだったから」ということもありそうで、その後の結婚生活に一抹の不安もよぎります。これもよくありがちですが、「早くお金が欲しい」とサラ金やギャンブル、悪徳商法に手を出してしまうと、その後手におえないようなことが起きたりします。どれもこれも「早く早く」が招く悲劇です。

「早く早く」と思う気持ちは、例外なく、満たされていない気持ちから生まれますよね。お腹が空いて満たされないから早く食べたい、収入が少なくて満たされないから早く収入源が欲しい、結婚していないのは満たされていないから早く結婚したい…みたいな。「早く早く」という気持ちは知らず知らず自分にかなりのストレスを与えています。いつでも状況をジャッジしてしまって、「あーまだかなわない(満たされない)」という気持ちが付きまとうからです。この経験を私も幾度となくしてきて、そういうことじゃないのわかってるのになかなか抜け出せない悪習慣の一つだと感じています。

それでも、自分自身への信頼を強く保つことで、「早く早く」と思わなくても、最善のタイミングですべては起こるということがわかってくるので、自然と「早く早く」と思う頻度は減っていきます。人生そのものにいつまでたっても「結果」というものはなく、死ぬまで一生「プロセス」は続いていく。「プロセス」そのものが人生であると。種をまいて、その瞬間に花が咲いたり、実がなってしまったらつまらない。種をまいて、条件が揃ったら芽が出て、光ときれいなお水によってグングン育ち、最高のタイミングで開花するわけです。またしても植物は賢く、自分が最高に輝けるタイミングがわかっているわけですね。人間も本当はわかっている。しかし、頭のノイズがそれをわからなくしているだけ。「早く早く」と欲望をかきたてられているだけなんです。

「宇宙を信頼しよう」とか「すべてを委ねよう」とか「ありのままを受け容れよう」というのは、「早く早く」と思わないこと、というのとほぼ同義だと思います。インスタントな欲求を満たすことだけを考えていると、ろくなことがありません。起こることがすべてが必要なプロセスなのだと完全に腑に落とし、多くの方が、「早く早く」の魔の手から一刻も「早く」逃れられることを願っています。

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