トルストイの「アンナ・カレーニナ」について

※作品のネタバレを含みます。ご了承してお読みください
 
 トルストイの「アンナ・カレーニナ」を読んだ。翻訳は新潮文庫版の木村浩訳である。1冊が580~759ページのものが3冊だから、読み通すのに2週間以上もかかってしまった。中々骨の折れる読書だった。
 トルストイの長編で読んだことのあるのは「復活」だけで、著者の代表作である「戦争の平和」や「アンナ・カレーニナ」は恥ずかしながら未読だったので今回は後者の方を読んでみたというわけである。なぜ、アンナ・カレーニナの方を選んだのかというと、単純に長さが短い方を選んだだけである。それにたまたま運良く図書館の文庫棚に置いてあったというのも大きい。
 主要な人物は4人である。ブロンスキー、アンナ、リョーヴィン、キチィである。まず、この4人を2つに分けると、ブロンスキーとアンナ、リョーヴィンとキチィになる。どういう基準で分けたのかというと、恋愛による勝者と敗者である。前者が勝者のグループ、後者が敗者のグループである。ブロンスキーとリョーヴィンはキチィのことを好きになり、三角関係となるがブロンスキーがキチィからの愛を勝ち取る。その後、ブロンスキーはアンナと出会い一目惚れをする。そして、キチィは振られてしまう。
 ちなみに物語の開始時点で、アンナは既にカレーニンという官僚と結婚して子供までいる。
 その後、ブロンスキーとアンナは不倫関係に陥り破滅し、リョーヴィンとキチィは結婚して幸せな家庭を築いていく。
 アンナ・カレーニナはすごく雑に説明すれば、恋愛勝者のカップルと恋愛敗者のカップルの2組の対比を描いた作品だ。もちろん、他にも多くの登場人物が登場し、様々なことが起こるが、この作品を敢えて一言で表すとしたらそう言うだろう。
 ここから感想を書いていくが2つある。
 まず1つ目は退屈に感じたということだ。不朽の名作に失礼極まりないのだが、読んでいて楽しめなかった。これは私の勉強不足によるものが大きいのかもしれない。いつか再読して面白さを発見していきたい。
 2つ目はなぜアンナが自殺したのかよく分からないということだ。カレーニンと離婚ができないことで、ブロンスキーと結婚することができず、社交界では嘲笑の種にされる。また、ブロンスキーとのいさかいが耐えない。
 このままでは、ブロンスキーから捨てられてしまうかもしれない。そんな不安が拭い切れないアンナは鉄道の線路に飛び込んで自殺してしまう。ここにあまり感情移入が出来なかった。
 こちらの読解力不足か、時代と国が違うので価値観が合わないのかはわからないが、とにかくピンと来なかった。
 結びに入る。あまり面白くは感じられなかったが、文学史上に名を轟かせる傑作をまた1つ読みきることができたことは単純に喜ばしい。文学作品の醍醐味は何度も繰り返し読むことで魅力を発見することなので、今回面白く感じられなくてもそういうものだから仕方がない。面白さが分かるまで何度も挑戦すれば良いのである。とはいえ、かなりエネルギーを消耗したのでしばらくは文学作品は控えようと思う。


 


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