最近の記事

眠れないので雑文をしたためる

日付が変わる前に布団に入ったのに、2時を過ぎても眠れそうな気配がない。ということで、ここ最近のことを振り返ってみる。 うつ病と診断されてもう1ヶ月以上過ぎている。一時期は思い出したくもないほど、苦しんだが、今は症状がかなり落ち着いている。来月の中旬から働き始めるつもりだ。 回復したのは好きなだけ眠るようにしたこと、元気がある日は筋トレや散歩をするようにしたことが大きいと思う。 筋トレは去年の4月くらいから始めた。きっかけは鏡で自分の身体を見た際に強烈な嫌悪感を感じたから

    • 朝井リョウの「桐島、部活やめるってよ」について

       今回紹介するのは朝井リョウの「桐島、部活やめるってよ」という小説である。  私は中学生の頃に初めて読んで以来、自慢ではないが十回近く読んでいる。  内容を簡単に説明する。県立高校のバレー部のキャプテンである桐島が部活をやめる。というところから物語が始まる。それから、桐島ではない同じ高校の生徒の日常が描かれる。以上。タイトルの桐島という人物は回想には出てくるが、現在の時間軸では出てこない。  だから、最初に読んだとき、肩すかしを喰らったような感覚に陥ったのを覚えている。いつ桐

      • うつ病が再発した

        うつ病が再発して休職している。今月の真ん中に診断を受けたから、来月の中旬まで会社から休ませてもらっている。 私は今社会人3年目で、4月から4年目となる。1年目はITの会社でエンジニア(正社員)として働いたが、12月にうつ病になって退職した。約3ヶ月間休み、症状が回復したので2年目の4月からアルバイトとして働いてきた。なので、今の会社で2年弱働いたことになる。 今の職場は細かいルールとか覚えることが沢山あり、最初は全然仕事ができなくて自分はなんてダメな奴なんだろうと思った。

        • カズオイシグロの「わたしを離さないで」について

           カズオイシグロの「わたしを離さないで」を読んだ。最初に読んだのが大学生の頃で、数年の時を経て今回で2回目となる。物語の細かい部分をほとんど忘れてしまっており、再読にも関わらず次はどうなるんだろうと思いながら終始ページをめくっていた。  この話は提供人と呼ばれる臓器を提供することを目的として生まれたクローンたちの話である。提供人は幼少時代から青年になるまで施設で過ごし、その後外の世界で数年間時を過ごした後、介護人と呼ばれる提供人のサポートをする。そして、介護人の役目が終わると

        眠れないので雑文をしたためる

          トルストイの「アンナ・カレーニナ」について

          ※作品のネタバレを含みます。ご了承してお読みください    トルストイの「アンナ・カレーニナ」を読んだ。翻訳は新潮文庫版の木村浩訳である。1冊が580~759ページのものが3冊だから、読み通すのに2週間以上もかかってしまった。中々骨の折れる読書だった。  トルストイの長編で読んだことのあるのは「復活」だけで、著者の代表作である「戦争の平和」や「アンナ・カレーニナ」は恥ずかしながら未読だったので今回は後者の方を読んでみたというわけである。なぜ、アンナ・カレーニナの方を選んだのか

          トルストイの「アンナ・カレーニナ」について

          遠野遥の「浮遊」について

           遠野遥の「浮遊」を読んだ。今年の1月に刊行されたからかなり新しい作品だ。前回読んだ「教育」が面白かったから、期待していたがあまり面白くなかった。  本作の主人公は女子中学生のふうかである。碧ちゃんという父親と同じくらいの年齢の男性と住んでいる。両親はどうしているのかというと、父親とは連絡を取っており、気が向いたら食事などを作りに家に帰っている。母親は父親と住んではおらず、恐らく離婚していると思われる。ふうかは母親と交流がある様子もなく、現在母親がどうしているのかは作中で言及

          遠野遥の「浮遊」について

          村上春樹の「スプートニクの恋人」について

           村上春樹の「スプートニクの恋人」を読んだ。知らない人も結構多いのではないか。ノルウェイの森などの有名どころと比べるとマイナーな作品である。私は何回か既に読んでいるが、いつも内容を忘れてしまう。村上春樹の小説では結構よくある現象である。うまく内容を整理できないのか全く物語が頭に入ってこないのだ。単純に私の脳味噌の性能が悪いだけかもしれない。  スプートニクの恋人の主要な登場人物はぼく、すみれ、ミュウの3人である。ぼくは小学校教師をしている本作品の語り手である。すみれというのが

          村上春樹の「スプートニクの恋人」について

          町屋良平の「ショパンゾンビ・コンテスタント」について

           町屋良平の「ショパンゾンビ・コンテスタント」を読んだ。町屋良平は一時期はまっていたが、最近は全然読めていない作家だ。今回久し振りに読んでみようという気になった。理由は特にない。  この小説は主人公と源元が主人公の部屋でショパンコンクールというピアノのコンテストを観ながら2人がだらだらと過ごす場面から始まる。主人公は小説を書いていて、その小説に源元を登場させていいかと尋ねて許可をもらう。2人は音大で知り合った仲である。主人公は中退してアルバイトをしながら小説を書いているという

          町屋良平の「ショパンゾンビ・コンテスタント」について

          有川浩の「阪急電車」について

           有川浩の「阪急電車」を読んだ。有川浩には中学生の頃にはまっており懐かしくなって図書館の本棚で手に取ってしまった。当時の私には外れのない安心して読める作家であった。長い時を経て、久し振りに読んでみたがやはり面白かった。読みやすくて分かりやすい。あまり本を読まない人でも楽しめると思う。  この作品は阪急の今津線という電車内を舞台に繰り広げられる様々な登場人物のドラマをオムニバス形式で書いた小説だ。若者の微笑ましい恋愛模様や、周囲の人間関係に嫌気が差している人が勇気を踏み出すまで

          有川浩の「阪急電車」について

          年森瑛の「N/A」を読んで

           年森瑛の「N/A」を読んだ。芥川賞の候補作ということで知り、表紙が妙に印象に残っていて前から気になっていたのだ。読めて良かった。ページ数は114ページとかなり薄い本だ。1時間もあれば読み終えてしまう。  主人公はまどかという女子高に通う高校生である。彼女は学校で配られた保険だよりを読んで炭水化物を抜いて意図的に自身の生理を止めてしまう、というシーンで小説が始まる。  まどかは学校ではボーイッシュな見た目なのか同級生の女子たちからは王子様扱いされている。バレンタインでは沢山の

          年森瑛の「N/A」を読んで

          中村文則の「去年の冬、君と別れ」

           中村文則の「去年の冬、君と別れ」についてを読んだ。初めて読む本である。女性を燃やして殺害し死刑囚になった写真家を取材するライターの話である。  冒頭ではライターが写真家と拘置所で面会するシーンから始まる。ライターはその後も、写真家の姉、友人などと面会し、写真家がなぜそのような事件を起こしたのか真相に迫っていく。あらすじはこんな感じである。  この作品を読んだ感想は一言で表すなら非常にややこしい小説だった。最初に登場した人物が物語が進むうちに、実は違う人物だったということが判

          中村文則の「去年の冬、君と別れ」

          吉田修一の「パークライフ」について

           今回紹介するのは吉田修一の「パークライフ」である。表題作と「flower」の2編の中編が収録されている。表題作は芥川賞を受賞していると知り読んだ次第である。ちなみに今回が初読ではなく2度目である。  吉田修一という作家にはあまり縁がない。高校3年の頃に「横道世之介」を読んだくらいだ。めちゃくちゃ面白かったと記憶している。そのせいで、芥川賞よりも直木賞を取ってそうなイメージが私の中にあったので、図書館の文庫本のコーナーで本書を手に取って芥川賞受賞作と知ったときは不思議な気がし

          吉田修一の「パークライフ」について

          村上春樹の「1Q84」について

           村上春樹の「1Q84」を読んだ。ハードカバーで3冊もある長い小説だ。いつ読んだかは定かではないが、一度だけ読んだことがありいつか読み直そうと思っていた本の1つだ。軽い気持ちで手を出したが随分と時間が掛かってしまった。しばらくは読み通すのに1週間以上掛かりそうな本を読むのは控えようと思う。  「1Q84」を一言で表すなら、子供の頃に離ればなれになった10歳の少年少女が30歳の大人になって再会する物語である。こうしたモチーフは「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会

          村上春樹の「1Q84」について

          遠野遥の『教育』について

           遠野遥の『教育』を読んだ。ここ数ヶ月の間に、『改良』と『破局』を読んだから遠野作品は今回で3作目だ。過去に読んだ2作と比べて、『教育』はページ数も多いので途中で飽きてしまうかもしれないと思ったがそんなことはなかった。すぐに引き込まれてあっという間に読み終えてしまった。想像以上に面白かった。ただ、どういうところが面白かったと言われると説明に困ってしまう。まだ、自分の中でうまく言語化出来ていないのだ。  『教育』の舞台はとある学園だ。生徒は学園内で暮らしており、部屋には監視カメ

          遠野遥の『教育』について

          砂川文次の『ブラックボックス』について

           今回は砂川文次の『ブラックボックス』について紹介する。本書を読もうと思ったきっかけはつかつさんという文学系YouTuberが動画で紹介していたからである。2022年の芥川賞受賞作ということで興味が湧いたのだ。  最近は芥川賞のニュースを目にしても関心はあまり湧かない。一番新しい受賞作を聞いても恐らく答えられない。とはいいつつも、完全に関心を失っているわけではないので、ふとしたときに耳にして、たまたま図書館の本棚で見つけてしまうとささやかな運命を感じて手に取ってしまう。  い

          砂川文次の『ブラックボックス』について

          伊坂幸太郎の『魔王』について

          7月になった。もう今年の半分が終わったと思うとなんだか少し恐ろしい。何かしなければと漠然とした焦りが湧いたので、これを機に今月は読んだ本の紹介でもしようと思う。  というわけで今月読んだ1冊目の本を紹介する。  伊坂幸太郎の『魔王』だ。  私が初めてこの小説を読んだのはいつだったか良く思い出せない。伊坂を読み始めたのは高校生の頃だから、高校か大学時代のどこかで読んだはずだ。確か『モダンタイムス』という続編がありそっちも読んだはずだ。  正直、最初に読んだときこの作品を面白い

          伊坂幸太郎の『魔王』について