俳句日記 初詣

初詣 僕たちは同じものを見ている

初詣に行くと兎角人びとは行列をなしている。珍しく他人様が至近距離にいるのでついつい、彼らの挙動が気にかかる次第である。
「鳥居くぐりて十人十色の禊かな」

並ぶ人びとは雑多としており、年齢も性別も構成も異なる。それらの方々がめいめいの方角を見ながら時間を潰す。彼らの見ているものは本殿だったり、威勢の良い掛け声の餅つきだったり、遠景の霊峰だったりする。
「男たちの餅つく音やぺたんぺとん」

そんな中、ふと人々の視線が揃うことがある。

視線の先には傾き始めた陽光が雲間から光芒となって差していた。
しばらく人びとは無言になってそれを見ていた、ような気がする。

自然の姿に時に我々は神々しさを感じる。この素直な感動は人類の共通した情緒だ、と思う。
色んな人がいるけれど祈願する未来の形は同じものなのかもしれない。
「初詣 僕たちは同じものを見ている」


この記事が参加している募集

自由律俳句