俳句日記「コートを脱ぐ」

似合わないコートを脱いで街角に立つ

未だ冬だと思ってコートを持ってきたが、どうやら今日は肌寒い春だ。コートが強張って重たいので脱いだ。

取引先の方と待ち合わせがあるのだが、初対面なので会える自信がない。
携帯電話の番号を交換もしていないし、相手の本日の服装も知らない。
本当に会えるだろうか。

色淡し 心細きに寄り添う春は

会えた。意外となんとかなるものだ。
車を出して会社まで移動。
会話が弾まない。
適当な世間話。そして沈黙。
話題を風景に頼ろうとしたが、霞んで見えない。

沈黙を破るものなし春霞

会話することは諦める。
無言のまま車は走った。


春塵 改めて名刺交換


会社に着いて打ち合わせが始まる。
途端に眠い。


ディスクロージャー開きて春眠深し山蛙

小一時間かけて打ち合わせ終了。
再び客人を駅に送る。
なんのかのと人と出会うことは楽しい。
帰り道は一人。
最初に脱いだコートが助手席にある。


我一人 外套一つ 車中にて

(俳句日記「コートを脱ぐ」村崎懐炉)

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ムラサキ

コメント2件

ムラサキさん、こんばんはです
だいぶん春めいてきましたね。
全体の流れがあって、最後の一句。これがすごく収まりが良くて、景色が目に浮かびました。
返事考えながら寝落ちしてました。
おはようございます。

先日俳句雑誌を立ち読みしまして。
掲載された句の多さに食傷気味です。五七五が二百三百と集まるともう何が何やら私の頭では整理がつきません。

俳句は一つの文学なので、単体で味わう趣もありますが、紀行、日記の中で味わう趣もあります。

私の下手な俳句も背景を知って頂くと情緒が出るかなー…。
というのが、この俳句日記シリーズです。

苦笑。

丁寧に読んで下さって嬉しい限りです。ありがとうございます。
(^_^)/
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