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2023年のブックサンタに参加した話

先日「ブックサンタ」という活動に参加した。こうした慈善活動をしてきたことは個人が紐づく形で公にするのは憚られるので、SNSではなくnoteに残しておく。

ブックサンタとは

ブックサンタとは「様々な事情で大変な環境にいる子どもたち」に本を届けるための活動のことだ。本を贈りたいと思った人が書店で本を購入すると、NPO法人を通じて子どもたちに届けてくれる。

ブックサンタを知ったきっかけ

ブックサンタという活動を知ったのは、近くの書店にポスターが貼られていたからだ。初めて見たときは「そんな活動もあるのか」といった程度の感想だったが、何度か目にするうちに参加してみようと思うようになった。

というもの、ポスターを見ているときに子どもの頃の思い出がよみがえってきたからである。

図書館に足を運んでいた思い出

小学生のころは毎週のように図書館へ足を運んでいた。休みの日になると父が連れて行ってくれたからである。自転車で10分程度の場所にある図書館に、父や弟と一緒に行くのが休日の過ごし方のひとつだった。

通うようになった当初は「ズッコケ三人組」や「謎解き本」といった児童向けの本をよく借りていた。マンガのような表紙とキャッチ―なタイトルは興味を引くのに十分だったし、本の世界に広がる冒険譚に心を掴まれていた。

そんな生活をしばらくしていたからだろう。いつの間にか私にとって本を読むことが生活の一部となっていた。父と一緒に行かなくなっても、一人で自転車を漕いで図書館へ行くようになった。そのころにはライトノベルや一般文芸も読むようになり、私の身体には順調に読書の文化が根付いていったのである。

父としてはホームセンターの買い物ついでだったのかもしれない。ただ、いずれにしても図書館へ足を運ぶことは私にとって読書という文化に触れる原体験であり、読書が生活に根付くようになったのもこの習慣によるのは間違いない。実際に買い物ついでだったかどうかは分からないが、図書館への道を先導してくれたことには感謝している。

もっと言えば図書館で紙芝居を借りた記憶もある。私が足を運んでいた図書館には紙芝居を読み聞かせるための部屋があり、何度かそこで紙芝居を見た記憶もおぼろげながらあるし、母に読んでもらった記憶も少し残っている。自分から図書館に通うようになる前にも、こうした体験によって本との出会いを近づけてくれていたのだろう。

そんなわけで、私にとって子どもの頃に本に触れたことは大きな意味合いを持っている。人生のなかで本を読む選択肢を与えてもらえたからだ。だから、もしもそうした選択肢を得られていない子どもたちがいるのであれば、微力ながら私もそうした手伝いをしたいと思ったのだ。結果的に本を読む習慣が根付かなくても、選択肢だけは届けられたらと。

本を選ぶときに考えたこと

ブックサンタの対象年齢は0~18歳と書かれている。そのなかでも小学生の低学年から高学年あたりの本が、毎年不足気味とのことらしい。そこで今回は小学生の子どもたちが読む本を選ぶことにした。

いまの児童書は何が人気でどういう話が好まれるのかは分からなかったし、かといって「読んでもらいたい」と考えて決めるのもおこがましいのではとも感じたので(個人の感想です)、「自分が読んでみたいなと思ったもの」を基準にした。

平日の夜ということもあって売り場には小学生もいなかったので、一通り本棚を眺めてから2冊の本を選んだ。1冊は角川つばさ文庫から、もう1冊は謎解き本を。前者はシリーズ物の1巻にしたので(単独でも読める)、次の本も読みたいと思ったときにハードルが下がるように。後者は少し文章を読むのが苦手だったとしても楽しめるタイプの本として。

おわりに

顔も名前もわからない誰かに本を贈ることは生まれて初めてだったが、もしもその誰かにとって楽しい時間を過ごすことができたなら光栄だし、本人がもらって嬉しくなかったとしても、それはそれで良いと思う。

前述したとおり、私が今回ブックサンタに参加しようと思ったのは「読書の文化が根付くための選択肢を持ってもらいたかった」からだ。結果として手にした本を途中で読むのをやめても、読むことさえなかったとしてもそれは本人の選択である。(子どもに選択の責任を取ってもらうつもりもないが)

もっとも、大人になってから本に触れ、読書の習慣がつく人もいるわけで、必ずしも子どもの頃から触れる必要はない。ただ、単純に私がそういう体験をしてきた、それだけのことだ。

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