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映画「溶解人間」レビュー「本作品の見所」。

土星から帰還した宇宙飛行士が体が溶け続ける奇病に罹り逃亡。
ジャミラの如く彼の存在を抹消したい政府は行方を追うが…。
凄まじい溶解描写と彼の唯一の知己との友情が並行して描かれ,
何処まで溶ければ人間性迄溶けるのか,その限界を描く。

…と粗筋を書いてきたものの「本作品の見所」は別にあるのだ。

確かに特殊効果のリック・ベイカーが腕を振るった溶解描写は凄まじいし,
「溶ければ溶ける程強くなる」って酔拳もビックリの設定には驚かされたし、
ドロドロに溶けながらも決して友情を忘れない溶解人間には,
「人間の尊厳」を見る思いがして背筋が伸びたし,
「ウルトラマン」のジャミラのエピソードに涙した元・特撮少年の心が「溶解人間」を「無かった事」にしようとする政府の陰謀に震えない筈は無いのだが,
それでもやはり「本作品の見所」は別にあるのだ。

それは溶解人間に最初に襲われ,
泣き叫び悲鳴をあげながらスローモーションで,
こっちに向かって走って来る巨漢の看護師の描写なのだ。
この決して逃がれられない悪夢的描写こそが「本作品の見所」なのだ。

僕は筒井康隆の「走る取的」を連想し死を覚悟したよ。

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