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映画「蛇女の脅怖」ブルーレイレビュー「他国を侵略した国は反抗を絶えず恐れてる。」

アジアの文化人類学の権威フランクリン博士(ノエル・ウィルマン)は
マレーに伝わる蛇神信仰の研究に没頭したが,彼の地で
娘アンナ(ジャクリーン・ピアース)が誘拐される。
数か月後,娘は保護されるものの,彼女は蛇神の呪いがかけられていた。
博士は蛇神の怒りを買ったのだ。
博士は娘と共に英国コーンウォールの小村に逃げるものの,
蛇神の使いであるマレー人(マーン・メイトランド)は
執拗に追跡し,娘に呪いをかけ続ける。
蛇神の呪い故なのか小村で
全身が黒く変色し死に至る「黒き病」が蔓延し始める。
黒き病で死んだ者の首筋には何かに噛まれた様な歯形が付いている。
兄を黒き病で失ったハリー(レイ・バレット)と
その妻ヴァレリー(ジェニファー・ダニエル)は,
小村に移り住み真相の究明に乗り出すのであった…。

特典映像でも音声解説でも指摘があったのは英国の植民地マレーに
伝わる蛇神信仰を研究し,逆にマレー人から手痛いしっぺ返しを食らうのは,
英国がマレーに反逆されるのではないかという恐れが具現化されものだ,
との指摘は目から鱗であった。
「異教の神の祟り」を畏れる気持ちは勿論,絶えず反抗を恐れてるのだ。
先般の報道によると米国での黒人暴動の怒りの炎は,米国をインドと間違え,
先住民の父祖の土地を奪う結果となったコロンブスにまで及び,
彼の銅像を引き倒す事態に発展していると言う。
侵略した者は何時か侵略された者に反抗されるのは
映画の中の世界だけではないのだ。

音声解説は「吸血ゾンビ」と同様に
脚本家でプロデューサーのスティーヴ・ヘイバーマン,
自称映画関係の何でも屋のテッド・ニューサム,
多くのゾンビ映画の脚本や演出を担当したコンスタンティン・ナッサー
の3氏によるものだが「吸血ゾンビ」の時ほど
好き勝手にオタクトークに走っておらず,余程マシとなっている。

画質は冒頭のロゴの
黄色の褪色と雨が降っている様な傷が気になるが徐々に落ち着いて行く。

特典映像
1.メイキング・オブ"蛇女の脅怖"(00:22:45)
ハマー・フィルムの歴史家マーカス・ハーン,
俳優で脚本家のマーク・ガティス,
英国のゴシックホラー映画に関する著作のあるジョナサン・リグビー,
ハマーの映画音楽に関する著作のあるデヴィッド・ハクベル,
ハマーのブレイスタジオ時代に関する著作のあるウェイン・キンゼイ,
本作の美術主任ドン・ミンゲイによる証言集。
後半に本作のフィルム修復現場を探訪する。
2.ワールド・オブ・ハマー邪悪な魔女たち(00:24:53)
1990年に製作された特典集「ワールド・オブ・ハマー」から
「悪女・魔女の章」を抜粋したもの。
ハマー・フィルムを彩った悪女たちが紹介されてゆく。
ナレーターはオリヴァー・リード。
3.劇場予告編集(00:05:32)
本作と「白夜の陰獣」の予告編集。
4.TVスポット集
TVスポットが2編収録されている。
5.フォトギャラリー
宣伝用スチール集(00:03:49)とポスター&ロビーカード集(00:04:52)が収録されている。

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