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映画「ザ・カー」ブルーレイレビュー「何でもない人間の何でもない人生が一生に一度だけキラキラ輝く瞬間に泣けるのです。」

山間の田舎町を襲う漆黒の殺人車。
序盤は連続轢殺事件を
中盤はカーチェイスを
終盤は人智を超えた化物との戦いを堪能出来る
続編を睨んだ贅沢な作り。

殺人車を運転してるのは目に見えぬ悪魔って設定はオカルト映画なのだが
殺人車が「陸のジョーズ」として動物パニック映画の文法で描かれ
「エクソシスト」に代表されるオカルト映画が
動物パニック映画に引導を渡されの前者のブームの終焉を示す。

僕が好きなのは爆発物取扱業の親父。
飲んだくれで直ぐ女房に手を上げて
警察署員からクズ呼ばわりされてたんだけど
殺人車を止めるには彼の爆破技術が必須で
主人公の保安官から"We need you"って頭を下げられて
子供みたいに泣き笑いするですよ。
恐らく誰からも必要とされて来なかった男が
初めて必要とされキラキラ輝く瞬間に泣けるのです。

主人公の娘の小学校の担任教師・ローレン先生が
墓地の十字架を恐れ近寄れない悪魔の殺人車を
ヘタレながらビビって半泣きになりながら罵倒する場面もいい。

僕は何でもない人間の何でもない人生が
一生に一度だけキラキラ輝く瞬間に泣けるのです。
「輝いた」結果,死んじまう位,何だってんだ。

本ブルーレイには2種類の吹替音源が搭載されてます。
先住民の保安官チャスに嫌がらせの電話がかかって来る場面
字幕:先住民の暮らしに戻れ
吹替1:インディアン村に戻れ
吹替2:インディアンはインディアンらしくしたらどうだ?
これだけでも吹替は素晴らしいが
星一徹(加藤清三)声で
「ケツのド真ん中に矢をブチ込んでやる」
と言い返す吹替2が最高なんだ。
侮辱されたなら何が何でも言い返さないとね。

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