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映画「ウィッチスターズ 遊星からの寄生体X」レビュー「映画を描き,漫画を撮る!熱血少年漫画の文法で描かれた驚異のダークヒーロー爆誕を目撃せよ!」

ハロウィンの夜,流星と共に飛来した魑魅魍魎が人やカボチャ…。
…ありとあらゆる「生あるもの」と無作為に合体し始める。
大抵の人間は死霊に成り果てて溶けるが稀に強い意志の持ち主が
淘汰されなかった御褒美の様に進化する場合があるのだ。
魑魅魍魎と合体しても人の心を失わなかった娼婦は魔女となり,
強い愛憎を持つ者は,その姿を異形に変えたデビルマンと化し,
それが宿命であるかの様に魔女とデビルマンが対決する。
果たしてこの星の新たな主は魔女か悪魔人間か…。

複数の挿話がハイテンポで交錯し最初は戸惑ったが,
1人の女を愛した2人の男の物語と判明してからは話に入り込めた。
魑魅魍魎に追い詰められた男が「最後まで希望を捨てないで」と励ますと, 女は「その希望が人を怪物に変えるのよ」と答える。
男は夢を見て女は現実を見る。
監督の観察眼の確かさに唸る。
途中まで人間のエゴを露悪的に描いたからこそ
終盤の魔女とデビルマンの対決に,
2人の男の対話に,
純な人の心に泣けるのだ。

デビルマン・(ぬーべーの)「鬼の手」等,
監督は日本の漫画に造詣が深いのか知らん。
実際本作の冒頭で監督は冒頭で
"Drawing movies,shooting comics(映画を描き,漫画を撮る)”
と宣言してる。
漫画の作劇技法が監督の映画制作に大いに影響を与えている証拠だろう。

魑魅魍魎と合体しても人の心を失わなかった娼婦は魔女となり
人の為に血涙を流しながら戦う。
「左」の鬼の手でもデビルマンを封じられんと知るや
必殺の「右」が炸裂する!
特典の絵コンテを見た時も思ったが本作の本質は「熱血少年漫画」であり,
ベヨネッタを指向するアクションゲームでもあるのだ。

ゴア描写,溶解描写も勿論素晴らしいが
特に「サンゲリア」に多大なオマージュを捧げた箇所は
「尖った物が目玉に突き刺さる描写」愛好家の僕が感涙に咽び泣く内容で
本当に本当に素晴らしいのだ。
あとさ!イタリアの女優さんって何でこんなに綺麗なの?
こんなに綺麗でセクシーな人達が,
こんな酷い酷い酷いドロドロホラー映画に体を張って出演してくれて…。
ワシャ泣けてきたよ。
これまで「イタリア映画」って言ったら1970年代から1980年代の
ホラー映画と「ローマの休日」しか知らん訳で,
いい加減僕の脳ミソも21世紀仕様に更新しないとね。
エンドクレジットや特典映像の最後に「続く」って表示されるのは何故?
とまれ楽しめました!

特典映像
1.メイキング(00:12:47)
2.未公開シーン(00:01:03)
3.ミュージックビデオ(00:04:48)
4.ギャラリー(00:04:16)
5.ショートフィルム(00:03:10) 尺が3分の短編映画である。
6.ストーリーボード(00:02:13) 実際の画像&該当の絵コンテの紹介。
絵コンテを見るだけで大変な絵心と分かる。
7.予告編(00:01:03)

本作はジェミニエンターテイメントと
超尖ったゴア映画ばかりをBD-Rでリリースする事で知る人ぞ知る
VIDEO VIOLENCE RELEASING(VVR)が初の共同リリースしている。
VVRの急所は構成員がヒロシニコフ代表のみで
権利元との交渉・通販・発送作業の全てを何もかも独りで受け持たれていて
扱える円盤の量に自ずと限りがある事。
これ迄注文受付開始から終了まで僅か数分といった例もあった。
注文開始即瞬殺が常態だったのだ。
間に業者を挟まない手作り感・客とのコミュニケーションを尊んで来た
VVRらしい逸話である。
だが今回はジェミニエンターテイメントと組み,
扱える円盤数が大幅に増加したのではないか。
少なくとも僕はそう期待してる。
だからこそネット通販最大手のAmazonでの取り扱いが可能となったのだ。
僕はVVRの先行販売で一足早く本商品を入手したからこそ,
こうして詳細なレビューが書けるのだ。
本商品は,これ迄のVVRの商品と同様に媒体はBD-Rとなる。

今迄数百単位の人間しか知り得なかったVVRの晴れのメジャーデビューを
祝いたい気持ちと「秘密の花園」に不特定多数の足跡が刻まれる事への
恐れ戦く気持ち,共に我に有り。

死ぬ程燃える主題曲と共に天空の虚無より飛来した,
イタリア発のウルトラゴア映画の洗礼を
皆さんも愉しんでいただけたら,と祈念して止まない。

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