見出し画像

映画「ポセイドン・アドベンチャー」レビュー「半世紀前の役者・声優・価値観に「昔は「こんなもの」観て拍手してたのか」と思うことしきりです。オススメしません。」

大晦日の夜,豪華客船ポセイドン号はNYからアテネに向かっていた。
しかし海底地震が発生し,数分後に大津波に吞まれて
船は転覆して180度回転し天地が逆さまとなる。
船は浸水が激しく,人々は海水に追われる様に上へ上へと…。
…つまり客室から船底に向かって登って行く…。
しかし「登って」どうするのだ。
「登った先」は「船底」であり,そこで行き止まりではないか。
生き残った面々の心中に黒雲の如く不安が広がって行く…。

まあ一言で言うなら「海のタワーリング・インフェルノ」である。
本作は1972年に制作された半世紀以上前の映画であり,
金に任せた名優揃いだが如何にも「演技してます」って
大袈裟な所作が鼻白むし船は大道具がこさえた大掛かりなセット撮影。
何と言うかさあ「舞台劇」を見る思いがするのが
「昔の大作映画」の特徴なのだ。

極めて強いリーダーシップを発揮し皆を引っ張って行く
頼り甲斐のある逞しい男がジーン・ハックマン。
ハックマンのやる事なす事ケチを付けて
ことあるごとに対立するのがアーネスト・ボーグナイン。

「女」がパニックを起こし泣き叫び
「私もお歩けなあい!」
と「どうでもいい事」を都度申告して来る
イライラ製造マシンとして描かれてるのが前近代的ですね。

本作は本日テレ東の「午後のロードショー」で放映されたので吹替です。
磯部勉・富山敬・吉田利保子・永井一郎・野沢雅子・宮内幸平…等々と
映画が海外の名優揃い踏みなら日本の声優も超一級の配役で臨むのです。
若い方に分かるのは
野沢雅子さん(孫悟空),永井一郎さん(磯野波平)くらいかしらん。

逆さまになった豪華客船が閉鎖された迷宮として描かれ,
上へ上へと向かう強力な方向性があり
「ゴール」に希望は待っているのか不安を抱えながら進む事となります。

何しろ「古臭さ」「わざとらしさ」は如何ともし難く,
年寄りがさあ
「ワシが子供の頃夢中になった作品を観せれば
今の子供も大喜びに違いない」
って発想で手塚治虫先生の「鉄腕アトム」を何度も何度もアニメ化して
コケてを繰り返してるのを見ると
「年寄りは何度失敗しても反省しない生き物だ」との思いを強くします。
なので僕は本作は若い方にはウケないと思います。
半世紀前の役者も声優も知らないじゃ当然そうなりますね。
「女はただただ役立たずであって男に引っ張られて行くものだ」
って前近代的価値観は僕が観ても問題に感じます。
「何時までも大昔の作品に拘るのは人生の負け犬の所業」
だとの思いを強くしました。

「そんな作品を何故今頃になって放映するのか」が僕の感想となります。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?