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ドルフ・ラングレン主演の映画「パニッシャー」レビュー「明確な信念」。

刑事フランク(ドルフ・ラングレン)はマフィアの報復で
妻とふたりの娘を失い復讐者パニッシャーとして
マフィアの構成員を次々と抹殺して行く。
本作品におけるフランクには明確な信条がある。
それは「極道者は殺すが,極道者の子は殺さない」というものだ。
日本初の女親分レディー・タナカが率いるヤクザ組織
(作中,マフィアのボス・フランコは
ヤクザ=ジャパニーズ・マフィアと解説している)
がフランコに対し縄張りの75パーセントを割譲するよう要求する。
当然フランコはその要求を一蹴するがヤクザ組織はフランコと
その側近たちの子を拉致監禁し法外な身代金をフランコに要求する。
地下水道で事の一部始終を盗聴したフランクは
今は亡きふたりの娘の写真をじっと見つめてから
拉致監禁された子達を救出することを決意するのであった…。

マフィアとヤクザ組織との抗争があり
そこにフランクが介入する三つ巴の争いという構図。
フランクの念頭にあるのはヤクザ組織から子達を救出し
警察に引き渡すことだけだ。
フランクの「これまでの所業」からマフィアは勿論敵であり
フランクの「これからの所業」によってヤクザ組織も敵となり
結果フランクは両者から拷問を受けたり恫喝されたりする羽目となる。
本作品におけるフランクをその所業から
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画名から
「キンダガートン(幼稚園)・コップ」と揶揄するレビューを見かけたが
見当違いも甚だしい。
先に述べた通り本作品におけるフランクは何時如何なるときでも
「極道者の子は殺さないが極道者は殺す」のである。
つまり極道者の息子の目の前で極道者を平気で殺すと言う事だ。

本作品におけるヤクザ組織の描かれ方が大変愉快である。
ヤクザ組織の構成員たちがあるときは奇妙な日本語で話し
またあるときは防具を身に着けて竹刀で剣道の稽古に励み
またまたあるときは真剣を抜刀して襲い掛かって来る。
レディー・タナカは奇妙な浮世絵を背景に着物姿で舞を披露する。
先に述べた通り本作品では「ヤクザ=ジャパニーズ・マフィア」と
見なされているが仁義も義理人情も任侠もへったくれもない
その非情な所業を見ているとフランコの解説の的確さに改めて唸らされる。
むしろ拉致監禁された
フランコの息子の言動の方が余程義理人情に厚いとさえ思える。

これだけ盛り沢山の映画でありながら尺の長さが90分であることに
驚かされるがほぼ同時期に公開された「バットマン」と比べると
余りの知名度の低さに再度驚かされる。
面白いのになあ。

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