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映画「魔界転生」レビュー「オトコノコの夢を叶える映画」。

僕が子供の頃,学校の休み時間に
男子生徒たちが熱心に語り合ったことは次の様な内容である。

「ゴジラ」と「ガメラ」ガチで戦ったら本当に強えのはどっちだ?
「アントニオ猪木」と「ジャイアント馬場」
ガチで戦ったら本当に強えのはどっちだ?
「北の湖」と「輪島」ガチで戦ったら本当に強えのはどっちだ?

男子として生まれたからには
世界で一番強い男になりたい,
それは雄としての当然の欲求であり本能でもある。

しかしある日,気付いてしまうのだ,気付かされてしまうのだ。

「自分が世界最強の男ではない」ことを。

ならば次の欲求として「世界最強の男」をこの目で見届けたい,
その強さを目の当たりにしたい。

本作品では
「宮本武蔵」と「柳生十兵衛」ガチで戦ったら本当に強えのはどっちだ?
「柳生宗矩」と「柳生十兵衛」ガチで戦ったら本当に強えのはどっちだ?
「天草四郎」と「柳生十兵衛」ガチで戦ったら本当に強えのはどっちだ?
を描いている。
つまり本作は「オトコノコの夢を叶える映画」なのだ。

圧巻なのは紅蓮の炎の中での柳生親子対決であり.
もっと有体にいえば柳生宗矩(若山富三郎)の鬼気迫る演技なのだ。
柳生宗矩は人間としての命を失い「魔人」として転生している。
この世にあってはならない「魔人」故に
紅蓮の炎の中の立ち合いにあっても瞬きもせず一滴の汗もかかない。

この「魔人」と相対して柳生十兵衛(千葉真一)は如何に戦うか。

『「神」に会うては「神」を斬り「魔」に会うては「魔」を斬る』
妖刀村正を構え全身に「耳なし芳一」の如く魔除けの梵字を描く。
つまり魔人に対しては「ハッタリ」と「外連味」で対抗する他はないのだ。

勝負の行方は勿論書かないが
仮に僕が星川生之助で,この立ち合いの行司を務めたとするならば

「これは手合い違いにござる(力の差が有り過ぎて勝負にならぬ)」

と漏らすのみであろう。

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