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ジョセフ・サージェント監督の「地球爆破作戦」レビュー「サージェント監督が描く「火の鳥」未来編」。

ジョセフ・サージェントと言えば, 僕にとってはウォルター・マッソーとロバート・ショウが虚々実々の駆け引きを繰り広げる 「サブウェイ・パニック」(1974)が真っ先に思い浮かぶが, あくまでも脅迫者(ロバート・ショウ)はミスを犯し,激昂もする人間だった。
しかしサージェントは「サブウェイ・パニック」の4年前に, 機械と人間の虚々実々の駆け引きを描いたSF映画「地球爆破作戦」…即ち本作を世に問うている。
ミスを犯す人間にかわってスーパーコンピュータ「コロッサス」に米国の国防を一任したところ,ソ連にコロッサス計画が漏れていて,全く同機能のスーパーコンピュータ「ガーディアン」が建造されていた。
手塚治虫氏の「火の鳥 未来編」の様に両スーパーコンピュータ同士が話し合った結果, この映画に於いては両スーパーコンピュータが結託し,共に愚かな人間を導く存在と化したら人間はどうすればいいのか。
コロッサスが人間の一日のスケジュール,食事のメニュー等を分刻みで決めるところは「有能な秘書」と呼んでもいいだろうが, 1週間に何回性交渉するか迄管理されたらどうか。

「私(スーパーコンピュータ)に支配される事で君達人間は自由を失ったと嘆くかも知れないが自由など幻であって, 君達が失うのは幻だけなのだ。
他民族に支配される事を思えば私に支配される方が遥かにマシなのだ。」

 この演説に我々人類は,どう反論すればいいのか。

この演説をする「一体化したコンピュータの意識」の声の出演が後年アニメ「新造人間キャシャーン」で人間を力で支配するアンドロ軍団の総統ブライキング・ボスを演じることとなる 内海賢二氏が好演している事は何という皮肉であろうか。
またコロッサスの開発責任者フォービン博士の声の出演を
後年コンピュータの予想を
「人間の気まぐれ」
で出し抜くルパン三世を演じることとなる
山田康雄氏が演じているのが唯一の救いである。

「人間に生きる価値無し」と判断して核戦争に突入させた
「ターミネーター」のスカイネット登場の遥か以前に
コンピュータによる支配を描いた映画が存在した事は
もっと知られてもいい筈だ。

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