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ポッドキャスト番組をつくった

以前からやってみたいと思っていたポッドキャスト。最近番組をつくったのでその経緯を記録しておこうと思う。

ポッドキャストを聴くようになったきっかけ

ポッドキャストを聴き始めたのは2019年の秋ごろだったと思う。海外に単身で駐在しているときにインフルエンザに罹患し、一日中ベッドで横になっていた。

すでに十分すぎるほど寝たので目は冴えており、たいへん暇である。かといってしんどくて仕事はできない。習慣になっている英語の勉強も手につかないし、本を読むこともできない。YouTubeを見ようとしても、鮮やかな色で明滅する光が目に入るだけで辛い。仕方がないのでラジオでも聴こうか。しかし、お笑いのラジオはなんだか疲れる。(お笑いを聴くのが体力的に疲れるという体験はこのときが初めてだった。)

どうしようかと考えあぐねていたとき、ふと、ポッドキャストでも聴いてみようかと思い至った。疲れないようとにかくローテンションなポッドキャストを聴こうと思い、ほとんど初対面のApple Podcastsからおすすめされる番組を眺めていると、「墓場のラジオ」という番組タイトルが目に留まる。墓場、これはローなポッドキャストに違いない、と思い聴き始めたのもつかの間、全然ローではなくむしろ明るい雰囲気の雑談番組だった。しかし、それは芸人のラジオと違い、聴いていて体力が奪われることもなく、頭を使う必要もなく、しんどくて退屈な時間を心地よく埋めてくれるものだった。

参照:https://tocinmash.com/hakabanoradio2/

この時を境にポッドキャストにはまり、聴くだけでは飽き足らず、徐々に自分でもやってみたいという気持ちが芽生えてきた。

番組コンセプトと民俗学

2023年12月、下北沢のBonus Trackで開催されたPodcast Weekendに参加した。ビジネスではなく、ただ好きという気持ちでポッドキャストを楽しんでいる人たちが集まったその空間は、明るくてあたたかくて、とても楽しかった。
高揚した気持ちが薄れないうちにエイヤと機材を揃えてしまった。ダイナミックマイク2本、Zoomのポッドキャストレコーダーにマイクアーム。

次に番組コンセプトをどうしようかと考えていたとき、「日常の記録」というのがまず頭に浮かんだ。古い日記や写真を見返すのが楽しいように、古いポッドキャストを聴き返すのもきっと楽しいのではないか。ターゲットリスナーは数年後の自分たち。無理せず、ゆるく、日常を記録していく。

番組のおおまかな方向性が決まったので、番組名も考え始める。民俗学に興味があることもあり、そのときにちょうど読んでいた本が、米山俊直氏の「小盆地宇宙と日本文化」。小盆地宇宙とは各盆地を宇宙に例えたアイデアで、盆地にはその盆地独自の文化や社会が発展してきたという考え方だが、自分が奈良盆地に生まれ育ったこともあってか妙に気に入っていた。
そこから、盆地から発信する平々凡々な日常、と発想して「平平盆盆」という番組名に行き着いた。

ここまできたらあとは番組のカバーアートである。画才がないので写真にしようと思い何枚か試したが、いまいちしっくりこない。そこで生成AIに挑戦してみることに。プロンプトは日本民俗学発祥の地である遠野盆地にインスパイアされ、「かつては湖底に沈んでいた盆地に広がる宇宙」とした。ピンとくる絵が生成されるまでプロンプトを修正し、ようやく気に入る絵ができた。

「かつては湖底に沈んでいた盆地に広がる宇宙」

これを、向きを変えたり色を変えたりして背景とし、仕上げに番組名を入れる。番組名の書体と配置は遠野物語の初版を意識した。自己満足以外の何物でもないが、趣味というのはそういうものだろう。

遠野物語の初版
参照:https://x.com/tonomuseum/status/1559545645903384577
出来上がった番組カバーアート

このようにして2024年3月に誕生した「平平盆盆」。
日々の平凡でなんでもない生活について話し、記録し、残していく。これもひとつの民俗学ではないだろうか。

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