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芥川龍之介を読んでみた③

芥川龍之介ベストセレクションを読んだ。

今回この本に載っているすべての作品を読むことができたので、それぞれ感想を書いていきたいと思う。

※ネタバレ含みます。


俊寛

島流しにあった俊寛の話。俊寛以外にも島流しにあったが、戻ることを許されたのは俊寛以外の人物で、俊寛が気の毒なようにも思えた。
終盤、島に住んでる女が俊寛をはり倒す場面がありその理由は描かれてないが、あまりのショックに混乱したからなのかなと勝手ながら解釈。
俊寛といい女といいショックなのは違いないと思う。

ただ、俊寛が戻ることを許された人のことをあーだこーだ言ってるのは強がりなようにも思えてしまった。

漱石山房の冬

芥川龍之介って夏目漱石の弟子だということを知った。
夏目漱石が亡くなって芥川龍之介が漱石の書斎を訪れた時の思った思い出話なのかなと思ったが、それだけじゃなさそう。
ラストに末次平蔵という人物の名前を口にするシーンがあるが、漱石の書斎を訪れたのはその人のことを調べようとしてたの?という謎の疑問が残った。

大導寺信輔の半生 ー或精神的風景画ー

貧困に対する憎悪、貧困から抜け出すために学校で感じる憎悪、そういったものが多く書かれてるのかなと。
でも、その憎悪が具体的に書かれていて、自分でも時々感じる「なんかムカつくけど一体何に怒ってるん?」って思うようなことでも根本的なところが書かれててなんかスッキリした。(うまく言えん…)

ただ、母の乳を知ってる友人とかに憎悪を感じたとあるが、それはおれも知らん!知ろうとも思わん!

玄鶴山房

玄鶴一家の話。
看護師の河野さんが「家政婦は見た」を連想されるような人物なのかな?
妾のお芳がいなくなったことで一見穏やかになるのかなと思ったら、均衡が崩れてるように、主の玄鶴が亡くなることで、残された玄鶴一家もどうなるのかなと思った。

職場にも目の上のたんこぶ的な人物がいるが、その人がいなくなることで穏やかになると思いきや、実はばらばらになるのかなと今の自分の現状とリンクしてしまう部分があった。

西方の人、続・西方の人

キリストに関する話。
宗教うんぬんはよく分からないが、キリストについてここまで調べ、思ったことを書いてること自体がすごいの一言に尽きる。
ひと通り読んだが、読みにくかったのが正直な意見。

芥川龍之介自身はキリスト教徒というわけではなく、冒頭にもあったが、「芸術的にクリスト教をー殊にカトリック教を愛してゐた」というようにキリスト教に興味があったのかなと。
「南京の基督」とか「奉教人の死」といった作品ができたのもキリスト教に興味を持ったが故なのかなと。どちらも良かった。

あの頃の自分の事

芥川龍之介の帝国大学時代の話。授業がつまらないとか、文学について話したりとか、何気ないことがありありと書かれている。

今でいうなら、「仕事がつまらーん」とか「仕事ってこうすべきじゃね?」とかそんなことなのかな?

違うか…

話の中に『カフェライオン』という喫茶店が出てくるが、昔、父とそこに行ったこと思い出した。当時はただ父に連れられて行っただけで、「なんなん、これ?」くらいの感情しかなかったが、これを読んだら急に感慨深いものが出てきた。

或恋愛小説 ーー或は「恋愛は至上なり」ーー

ここに出てくる恋愛小説は当時はどうか知らないが、聞いたことあるような気がしないでもない内容。
でもこの話で言いたいのは恋愛小説そのものではなく、恋愛小説を雑誌に載せるか載せないかという編集者とのやり取りにスポットをあててるのかと。

じゃすと・あ・斬新。

闇中問答

芥川龍之介本人による自問自答の話。
最初は著者をとことん貶す天使、次にとことん褒める悪魔、最後は『何してるん?』と問いまくるやつ。
とことん自問自答しまくって、自分を見つめなおすという解釈でいいのかな?

とことん貶してやる気を奮い立たせる人、とことん褒めてその気にさせて甘やかす人、そんな人が自分の周りにもいるからそういう人が思い浮かんだ。

一夕話

男6人の呑み屋での雑談話。
藤井が和田を茶化すから、和田はその経緯を話すのだが、しまいには寝てるという。

藤井、クソやん!!!
(※あくまでここに登場する藤井のことです)

でも、飲み会の席って大抵茶化す奴、茶化される奴に分かれる。自分は後者…。毎回ではないが、そういう飲み会を経験すると、そいつとはもういいや!となる。みたいなことを連想させた内容だった。
呑むこと自体は嫌いじゃないけどね。
(※一緒に飲みに行ける方募集。)

全体的に

どうにか『芥川龍之介 ベストセレクション』読了。
『羅生門』や『鼻』は昔読んだことがあるので、勝手ながら江戸時代とか明治時代を背景に書かれているものが多いのかと思ってたが、平安時代を背景にした話、キリシタンの話などジャンルが幅広かった。

ベストセレクションとだけあって、他にも色々な本があるようだが、この『芥川龍之介 ベストセレクション』を読んだだけでも、芥川龍之介にちょっとだけ近づいた気もする。

ちょっとだけ。

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