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二月大歌舞伎 第一部

今日は急きょ歌舞伎座に行ってきました。
文楽公演を観に行くことを断念し、気になっていた一部を観に行こうと思いました。これが想像以上に楽しかったのです。

「御浜御殿綱豊卿」は真山青果の元禄忠臣蔵の一幕です。真山青果と言えば新歌舞伎、そして’セリフ劇’です。役者たちの動きよりも、言葉で物語が進行していきます。附けの音も入りません。

この話を初めて観たのは、歌舞伎デビューした翌年。歌舞伎座さよなら公演の三月大歌舞伎でした。昼夜一日通して元禄忠臣蔵祭り(笑)

江戸城の刃傷~最後の大評定~御浜御殿綱豊卿~南部坂雪の別れ~仙石屋敷~大石最後の一日まで。初心者としては昼→夜と順番通りに楽しみました。注目は、大石内蔵助を團十郎さん白鸚さん仁左衛門さんが、それぞれの場面で演じることでした。

長丁場だし。。大丈夫か私。。と思っていたのも最初だけ。忠臣蔵の世界観に連れていってもらえ、昼が終了すると別日の夜が楽しみでなりませんでした。

中でも御浜御殿綱豊卿は、幸四郎さん(当時 染五郎)が助右衛門を演じ、綱豊卿の仁左衛門さんと一騎打ちのような、若手がベテランに挑む戦いのようにも思えてワクワクしました。

以来、真山青果の作品が好きになりました。

猿之助さんは亀治郎時代に浅草歌舞伎で助右衛門を演じ、中車さんも梅玉さん仁左衛門さん相手に演じたのを拝見しています。澤瀉屋にも縁があるのかと調べたら、三代目猿之助さんは綱豊卿のほうを演じていました。四代目も今なら綱豊卿のほうを観たいなと思う。

浅草歌舞伎の巳之助さんの助右衛門もよかった。愛之助さんの綱豊卿は教えた仁左衛門さんに似ていたなとか。様々な思い出がある、よくかかるお話です。

さて、今回は梅玉さんの綱豊卿、松緑さんの初役の助右衛門というコンビです。息がぴったりで、もうずっと二人で演じてきたようなお芝居に魅入ってしまいました。松緑さん、初役とは思えない!当たり役ですね。

~赤穂の事件後、徳川綱豊卿は赤穂浪士たちに仇討ちをさせたいと思っているのですが、浅野家再興の話が持ち上がります。仇討ちとお家再興の両方は有り得えません。そんな時、綱豊卿の寵愛を受けるお喜世の義理兄、助右衛門がやってきます。綱豊卿主催の’お浜遊び’を見たいと言うのですが、実は仇討ちのため、客の中の吉良の顔を確認することが目的でした。

綱豊卿は、助右衛門から大石内蔵助が仇打ちの意志があるのか聞き出したい。。助右衛門は、仇打ちのことは知られず、吉良の顔を見たい。。

二人の腹の探り合いが始まります~

人の良さというか、素直さを感じる助右衛門でした。松緑さんの人となりはわかりませんが、いつも性格の良さを役から感じます。何だか、ほっこりしちゃうのですよね。綱豊卿の言葉に、思わず敷居をまたいじゃうところなんて最高でした。あれだけ意地張ってたのに、こんなに簡単に行っちゃった(笑)みたいな。

一途さが暴走して、綱豊卿の心中を荒らしてしまうところもワクワクしてしまった。松緑さん、とてもいい。あれでは義理妹のお喜世はヒヤヒヤしちゃう。ラスト、勘違いしてさらに暴走するのが納得な人柄なのでした。

梅玉さんは巧みで心憎い。何だかすっごく楽しそう。お役と重なり、松緑さんの活躍を楽しく感じているのかもと思うほど。殿様の余裕なのかこれが。。もう貫禄でした。ラスト、助右衛門にかける言葉が温かく厳しい。胸がすく器の大きい綱豊卿でした。

お喜世は莟玉さん。初役だそう。梅玉さんが嬉しそうに手を取っているように見えて仕方ない(笑)雰囲気も似てるし、素敵なカップルだなと思いました。松緑さんに体当たりの演技を見せるところは迫力あってびっくり。この先も観ていきたいです。

冒頭、お浜遊びの場面で、段之さんが私的にインパクトあり過ぎ(笑)それに澤瀉屋の方々がいるのを発見して嬉しかったです。

大石内蔵助や他の赤穂浪士は全く登場しませんが、その存在や、じわじわ討ち入りに向かっていく気配を感じるお芝居でとても面白かったです。


二つ目の「石橋」は短く、獅子の精が踊り、毛振りが圧巻。鷹之資さんが休演になりましたが、代役は立てず錦之助さん左近くん二人で演出変更で上演です。

錦之助さんの獅子は美しく勇猛でした。特に毛振りの美しさは見惚れました。左近くんは成長した姿が眩しくて感動です。特に音感がよくないですか?音と踊りの一体感が気持ちよかったです。

お二人でも十分でしたけど、ここに鷹之資さんがいるのも観たかったなーと途中で思いました。無事に復帰されることを祈っています。


二月の風物詩の地口行灯の灯りも素敵でした。

aya


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