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弥次喜多流離譚 新version 1

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第一部が代役で再開したと思ったら体調不良者が出て第二部第三部も中止。これが日常とはいえ、やっぱり知った時の緊張感は無くなりません。気分が少し落ちましたが、その晩に翌日は全ての幕を開けることが発表になりテンションがあがりました。一部に続き代役を立てて上演です。

その代役にびっくり!

★第二部
「安政奇聞佃夜嵐」
青木役 幸四郎さん→猿之助さん

「浮世風呂」
なめくじ役 團子くん→笑野さん
(團子くんの罹患は一日前に発表)

★第三部
「弥次喜多流離譚」
弥次郎兵衛役 幸四郎さん → 青虎さん
伊月梵太郎役 染五郎くん → 猿弥さん
五代政之助役 團子くん → 隼人さん

オリビア役 染五郎くん → 笑三郎さん
お夏役 團子くん → 笑也さん

猿之助さん出ずっぱりversion!疫病前にタイムスリップしたような。三部の代役の方たちは本役もあります。また、代役の方の押し出しで違う役を演じることになった人もいます。

もう全くの別物!主要キャストで休むことになったのは幸四郎さん染五郎くん團子くん。若い二人は男女二役を早替りで務めていました。それを早替りを無くして男性と女性に二人に分けたため、役者さんが倍になりました。

猿之助さんは、二部の幸四郎さんのセリフと段取りを覚えながら、演出家として三部の采配もしていたことになり、ただただその才に感服でした。猿之助さんの今までの全ての経験が、幕を開けることに繋がったと思います。

このことを知った瞬間に胸がいっぱいになりました。猿之助さんはただでは転ばない。過去、いくつの公演が中止になったことか。自分だけ舞台に立てない悔しさも経験しています。どうしたら幕を開けられるのか常に考えているのだと思いました。猿之助さんは常に攻めの姿勢なのです。

にしてもですよ!10代の染五郎くんの代役に猿弥さんを抜擢すると思いますか?攻めすぎ(笑)私、隼人さんかと思っていたら、金髪が猿弥さんだった。最高に観たい!でもこれは猿弥さんを知っているかどうかで観る前の気持ちの明暗は分かれると思う。それでも私は観てもらえば絶対に損をしない楽しい余韻で帰ってもらえると信じています。そして、絶対に染五郎versionでも観たくなる。

それでも物事は全て賛否両論です。どんなことをしても賛否はあります。猿之助さんの采配について思うことは後で書こうと思います。

さて、このままの代役で土日の2日間は上演され、濃厚接触者だった幸四郎さんが隔離機関を経て無事に昨日、帰ってきました!二部と三部を続けて観てきました。

まずは弥次喜多のお話。

弥次さんの代役だった青虎さんを観られなかったのは残念ですが、相思相愛の猿之助さん幸四郎さんの芝居は唯一無二。二人のやり取りを観ていたら、幸四郎さんが戻って誰よりも嬉しく、安心しているのは猿之助さんなのだろうなと心に湧いてきました。

幸四郎弥次さんは何をしても嬉しさが溢れちゃってました(笑)ずっとワクワクしているように見え、ちょっとでも面白そうなことがあれば飛び込む。それを好きにさせて見守る猿之助喜多さん。

島から船で長崎にわたる二人。そこで南蛮スタイルの洋服を着ることになるのですが、幸四郎さんの襞襟(動物のエリザベスカラーみたいな襟)が取れちゃった。芝居をしながら付けようとするけど付かない。これがけっこう諦めないのですよ(笑)猿之助さんに、気にするなと言われてたけど続けてたのが面白かった。

猿之助さんが面白いことをすると負けじとやったり、初対面の笑三郎さんのオリビアに「お嬢さん。。お嬢さん?」とか言っちゃうし、これまた初対面の猿弥さんの梵太郎を見たら笑っちゃって笠で客席から顔が見えないよう隠してしゃべってた。「お前、どうしてそんな顔になってしまったんだ」で爆笑だったけど、それにキョトンとした表情でいられる猿弥さんがすごいと思いました。キョトンは笑三郎さんも同じですが(笑)

團子&染五郎は少年でグレてしまった役。隼人さん猿弥さんはそのまま赤髪と金髪。設定は少年のままなんだけど、老けちゃったという設定みたい??でもなぜか猿弥さんのメイクが天童よしみさん。白塗りで、つぶらな瞳にプルプルのリップ。これで真面目に演技するものだから思い出しただけで笑えます。全く笑わないのは猿之助さんくらいではないでしょうか。

その後、違う場面でもう一回「お前、どうしてそんな顔になってしまったんだ」。。幸四郎さんは相当お気に召したように見えました(笑)そうそう、片岡亀蔵さんが幸四郎弥次さんに「久しぶりだな」と声をかけたりして歓迎ムードで観ながら感動でした。

團子&染五郎versionを観ているから比べてしまうのですが、笑也さん笑三郎さんの立ち姿のすばらしさに感動でした。二人がいるだけで歌舞伎色が強くなるのです。若い二人は女形はこれからなのでいいのです。でも目から鱗でした。女形ってすごいなと。しっかり者のお役ですが、お二人が演じると少し天然ぽく(褒めてます!)なるのが可愛らしかったです。
笑也さんのコメディエンヌっぷりも健在でした。

代役の皆様がのびのびと演じているように見えるのも、幸四郎弥次さんが変わらず楽しそうなのも、芝居をずっと守ってきた本役の皆様あってだと感じました。宗之助さんや新悟さん、門之助さん。。各場面が安心安定なのはまわりの支えあってです。そして、そこには変わらず猿之助さんがいる安心感ったらありません。

ダンスバトルも新version!猿弥さんと隼人さんのウエストサイドストーリーは最高でした!猿弥さんのあのライブのり(笑)リズム感が素晴らしいのでカウントとったら自然と手拍子が起こりました。今まで私が観た時はなかった。そのくらいお客を乗せちゃうのです。

で、あの振り付けですよ(笑)團子&染五郎のためにあるような振り付けを。。。観ていない方は洋画を思い出してください。あのままの雰囲気です。それに猿弥さんがキメ顔をする(笑)何だか楽しくてお客が笑顔笑顔。

その流れでレディースの小鍛冶がかっこいい!あの太鼓の畳み掛けるようなリズム!新悟さんのシ―子がキレキレなのです。ここ大好きです。そして、笑也さん笑三郎さんのハタキを持っての藤娘が加わり、ラストは全員で群舞。鷹之資くんのヤンキー具合がハンパないです(笑)踊りも迫力あるしキャラが立って素敵でした。

そして、寿猿さんの登場で泣きました。
観るほどに感動するってすごいです。

長くなりましたので続きはあとで。


aya

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