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十三代目市川團十郎白猿襲名披露「祝成田櫓賑」「外郎売」

さて、歌舞伎座昼の部のお話の続きです。

疫病が流行って休演明け初めての二部制です。昼の部の演目は三つあります。前回に書いた「勧進帳」は三つ目。その前の二つの感想を綴ります。


「祝成田櫓賑(いわうなりたこびきのにぎわい)」は、成田屋の襲名披露興行の幕開けを祝う常磐津舞踊。登場人物が多いのは筋書などで知っていました。誰が誰だか。。にならないようイヤホンガイドを借りて楽しみました。これが正解で、隅から隅まで役者さんの名前をその都度紹介してくれて助かりました。

いろんな役者さんが次々に登場して楽しいし贅沢。日々、リハビリに励んでいらっしゃる福助さんが驚くほど進化をしていて感動しました。そこから胸がいっぱいでした。

鳶頭の梅玉さん鴈治郎さん、芸者の孝太郎さん梅枝さんとか。。江戸の成田屋の襲名とあり、江戸っ子風情でわんさか登場です。中でも鳶の三人、萬太郎さん種之助さん鷹之資さんの踊りが目を引きました。颯爽としてかっこいい。種之助さん鷹之資さんは、その後に獅子舞も披露します。最高に楽しくて上手い!踊りに定評がある二人です。獅子頭で顔は見えなくても踊っている足でどちらかわかります。上手いからわかるのですよね。最後にお顔を見せた時にお客が湧きました。これは必見です。

で、揚幕から登場する澤瀉屋!青虎さん寿猿さんコンビ。これは個人的に盛り上がりました。成田屋襲名興行で花道から出てセリフもたくさんあるのです。寿猿さんが本舞台で話しているのを聴いている役者さん方が皆で笑顔!微笑ましい瞬間にほっこりしました。

笑三郎さん猿弥さん、猿四郎さん猿三郎さん段之さん。。澤瀉屋一門も大勢いらして嬉しい。笑也さんが国立でいないのは寂しかったです。

新團十郎さん新之助くんの登場はなくても、華やか豪華な幕開きにふさわしいワクワクする舞踊でした。


二つ目は「外郎売」歌舞伎十八番の一つ。新之助くんの初舞台披露演目です。以前はお父様の新團十郎さんと共演で話題になりましたが独り立ちですね。

小田原名物の外郎という薬の効能などを早口で披露します。ちなみに、この外郎売のセリフは役者やアナウンサーなど、話す職業の活舌の訓練によく使われ、私も司会者時代は暗記して発声練習に使っていました。

当たり前ですが、芝居として見ると発声練習のイメージとは全く違います。外郎売は実は曽我五郎という設定。敵である工藤祐経の前で披露するのがドラマティックです。後半は五郎が正体を現し立廻りというストーリー。

新之助くんが花道から登場した時の拍手がすごかった。満席の拍手は厚みがあります。初御目見えの時から成長した新之助くんは、頼もしくもあり、でも想像以上に小さくて。。その小さな体で拍手を一人で受け止めている様子に感動でした。

早口言葉も想像以上に速かった(笑)工藤役の菊五郎さんは、お役でなのか素なのか、楽しそうにそれを見ていました。正体を現してからの新之助くんに血を感じました。成田屋さんのことはよくわからないけど、荒事の血。なんだか魂レベルで生き生きと、そしてフィットしている様子に将来がますます楽しみになりました。同世代のお子さん方と共演も観てみたい。

共演は菊五郎さんの工藤祐経。大磯の虎は魁春さん。小林朝比奈は左團次さん。小林妹舞鶴は雀右衛門さん。化粧坂少将
に孝太郎さん、などなど豪華役者陣。

ちなみに今月の平成中村座でも曽我五郎が登場し、同じ登場人物たちが勢揃いしています。五郎は福之助さん。兄の十郎は歌之助さん。工藤祐経を橋之助さん。成駒屋兄弟が演じて若手中心のメンバーです。見比べも面白いので是非。


襲名興行は華やかでいい。二年間待った関係者の皆様、ファン。様々な想いが一気に溢れ、昔に戻ったような賑わいです。大向うも劇場指定の二名に限られますが復活(一般客はまだ禁止です)。それでも変わらないこともあります。マスク着用、会話は極力控え、食事は黙食の協力、などなど。劇場内のスタッフはまだフェイスシールドをしています。

安心安全の歌舞伎座。
猿之助さんもメディアで何度も発してきた言葉。心で呟き、今までの全ての方の苦労を無にしないようにと自分に言い聞かせました。このまま幕が上がり続けますよう祈ります。


今月のチケットは完売。時々、サイトに戻ってきているようですが。。私の歌舞伎座観劇はまた来月です。歌舞伎の襲名興行はやはりワクワクします。楽しかったです。


aya


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