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猿之助さんの乳母政岡で

今日は友人と二人でランチ忘年会でした。
私は別の用事で東銀座にいたので、友人の「新版伊達の十役」観劇後に歌舞伎座前で合流し楽しみました。

歌舞伎全般を観ている彼女は会うなり「猿之助さんの政岡がすごくよかった!」興奮気味でした。めちゃめちゃ嬉しい。あんなに情が深い政岡は初めて、と。フルバージョンで観たいよねえと意気投合しました。

ご覧になった方はご存知のとおり、政岡は「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」の登場人物。今月の「新版伊達の十役」は先代萩の御殿と床下の場面が前半部分。さらに言うと御殿の場は先代萩の後半部分しかありません。

先代萩の政岡の登場は、竹の間、御殿の二つの場に渡ります。今月を観ていると、全ての場を猿之助さんの政岡で観たくなりました。友人も今月の御殿の後半だけでは物足りないと言ってました。

猿之助さんの所作は美しく、特に、御殿の前半部分の「飯炊(ままた)き」を観てみたいと心の底から思いました。飯炊きは、空腹の鶴千代と千松のために政岡が茶釜を使い、茶道のお点前に則ってご飯を炊く場面。この間は舞台は沈黙。。全てのお客が政岡役者に注目します。

この場面、見ている私もなぜか緊張する(笑)でも、お点前のように美しい所作に一瞬たりとも見逃すまいと集中するのです。

猿之助さんもさぞ素晴らしい演技をなさるだろうなと妄想します。なぜなら、2008年に拝見した「加賀見山旧錦絵」お初役の沈黙の演技を思い出したからです。

主人 尾上役は時蔵さん、その敵役 岩藤を海老蔵さん。主人の敵を討つ召使のお初が猿之助さん(当時 亀治郎)でした。

お初は健気で優しく、おしゃべり好きな女性。主人が落ち込んでいると、明るく励ましたりして可愛い。ある時、岩藤が原因で主人が自害してしまう。それを発見して悲しむ亀治郎さんがとても印象的でした。

あんなに明るかった彼女が悲しみ、沈黙の中、お線香を焚いたり、屏風の上に魔除けの薙刀を置いたり。。そして、敵討ちを決意するのです。音一つ無い空間での所作から悲しみが伝わり、このシーンは辛いけど好きでした。何度も観に行き、手順を覚えてしまうくらいでした。

飯炊きが観たいと思ったらこのシーンを思い出しました。

伊達十の客入は日に日に良いようですし、先日の日曜は完売してました!評判が評判を呼び、いつか先代萩の政岡が実現したらいいなぁと願います。

そうそう、友人は、猿之助さんは兼ねる役者だとも言っていました。私もそう思うからさらに嬉しかった。立役も女方も両方ハマる。政岡から弾正へ。。こんなに違和感がない人はいないと思う。

お土産もありがとう。いつも木挽町広場で販売しているのを見ていたAZULのアイシングクッキー。これ欲しかったです(笑)

伊達十の話で最高に盛り上がったランチでした。

aya



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