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【2019シーズン】ヤクルトスワローズ観戦記

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ヤクルト観戦記、2019年シーズンはこちらにまとめて入れていきます。(オープン戦含む) 勝った日も、負けた日も、試合のある日は毎日更新しています。
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#観戦記

失った点はもう戻らないけれど 【9/25中日戦●】

残すところ、今日を入れてあと2試合。と、いう大切な日にヤクルトが見せてくれた試合はなんだったかというと。 0-12という負け試合である。 すごい。この人たちの野球は本当にブレない。 そういえば前回の中日戦も、14失点だったのである。あの日はたてさんとハタケの引退試合で、ハタケのヒットで200点を取ったので細かいことはもう忘れていたけれど、よく考えてみればしっかり14点も取られていた。14失点。結構なものである。 まあこの試合に限らず、本当に、本当に今年はよく打たれたな

ピンチをチャンスに、無失点で乗り切ってくれたリリーフ陣たちのこと【9/1中日戦◯】

五十嵐さんが抜け、ハフが抜け、そしてこんちゃんが抜けた。その時私は思った。こりゃもう、心の底から開き直ってやるしかないな、と。なんかもう、絶望すら感じる暇はなかった。失うものなど何もない!最下位だし!(泣いていない) まあもちろん、それから散々泣きたいような試合も山のようにあった。戻ってきてみんな・・・と、私はテレビで、球場で、何度もつぶやいた。だけど実際に、開き直ってそこでなんとかしようともがくピッチャーたちの姿も、たくさん見てきた。 胃も心もすっかりやられた毎日の中で

走り続けるてっぱちの勇気は、今日の1本にもつながっていく【8/31中日戦◯】

記憶の限り、てっぱちのヒーローインタビューを見るのは今季初めてだ。クールにインタビューに答えていたてっぱちは、200本まであと1本と言われ、照れたように少しだけ笑った。 てっぱちはバントをしない。当たり前だ。当たり前だけれども、バントをしない選手は、ほんの一握りしかチームにいない。スターなのだ。バントをしないてっぱちに求められることはもちろん、そこで長打を打つことだ。 ここぞの場面で打つことを期待される。それがもちろん、スターの仕事だ。 だけどてっぱちは今シーズンなかな

いつだってそこが転機になるのだと信じて【8/16中日戦●】

スーパーカツオさんのスーパー好投の余韻は、まだ神宮全体に残っていた。だけどまあ、どんな時も、新しい試合はやってくるのだ。良い時も、悪い時も。 ライアンは、初回に2ランを2本打たれ、4失点をした。いつだって現実は、向こうから急にやってくる。 結局その4失点のみで、ヤクルトは今日も負けた。4回表、たいしのホームランから始まった攻撃で、ここからまた反撃開始か、と、思ったものの、無死満塁の好機は今日も生かしきれず、そのあともタイムリーが出ず、エラーもあり(失点はしなかったけれど)

「誰かのため」と心から思えるそんな日に【8/14横浜戦◯(はなまる)】

8回表、カツオさんが伊藤裕季也からホームランを打たれた時、一塁側からは、今日一番の大声援と拍手が送られた。それはとてもとても、あたたかい拍手だった。 ノーノーを達成した瞬間じゃない。ノーノーが破られた瞬間だ。だけどヤクルトファンは、その瞬間に、大きな大きな拍手を、小さな大エースに送った。 そういうところだ、と、私は思った。ヤクルトファンの、そういうところが大好きだ。 その拍手に応えるかのように、カツオさんは、そのあとの打者をしっかりと打ち取った。カツオさんは8回を投げき

それぞれの1本には、黙々とバットを振り続けた時間がある【8/13横浜戦◯】

ツーアウトからランナーをためる、相手のためたランナーはもれなく返す、それはいつものことだ、今さら驚くことでもない。と、思いつつ、大きなため息とともにビールを飲む。上田はピッチャーの登板前にもちゅーした方がいいんじゃないのと思う。それくらいのことしかもう考えられない。 サヨナラの余韻が残る中、迎えた試合だった。だけどまあ、そうなのだ、なんだってそううまく行くわけじゃない。だけど一つのミスからなかなか立ち直れないピッチャーを見るのは、なかなかに辛い。 なっしーが5失点をした後

どうか19歳の人生が「野球をやっていてよかった」と思えるものでありますように【8/12横浜戦◯】

その打球は、私たちが座っているライトスタンドの方めがけて、すっと飛び込んできた。まるで、ライトスタンドが打球を呼び込んだみたいに。村上くんのタオルを掲げていた熊本出身のオットが、大喜びではしゃいでいる隣で、私は目の前で起こったことがなかなか理解できなかった。 いつもそうだ、私はどんなことも、ストンと自分の中に落ちるまでに時間がかかる。 それが、村上くんのプロ初打席だった。新井さんが神宮での最終戦を迎えたその日、村上くんは、プロ初打席で、ホームランを放った。 あれからもう

たいしは四球を選び、一塁まで走る【8/11巨人戦●】

こちらの得点圏のランナーは絶対にホームにはかえれないけれど、相手のランナーもれなく豪快なホームランで一斉に返してあげる。もうその図をひたすら見続けていると、何らかの神経は麻痺してくるのである。これ、今季何度か経験している。 具体的に言うと、6回あたりの攻撃があっさり終わったあたりから、特にその得失点差の数字には何の意味をも感じなくなる。勝敗?そんなもの、人生に何の意味ももたらさない。ヤクルトが負けたところで死ぬわけじゃない。 これを一種の悟りの境地と呼ぶ。ブッダはたぶんヤ

双眼鏡でほしくんを眺める、むすめを見ながら。【8/10巨人戦●】

「明日の先発、誰でしょう!」むすめを迎えに行ったとき、真っ先にそう聞くと、むすめはちょっと緊張した顔をして、「ほしくん・・・?」と、言った。「ぴんぽーん!」と言って、私とむすめは小さくハイタッチをした。 むすめは、しばらくしまっていた24の背番号が入ったクルーユニフォームを出してきて、自分のバッグに入れた。お気に入りのレディースユニフォームじゃなくて、そっちを持っていくことにしたらしい。 オットと息子はサッカーの合宿に出かけ、むすめと私は二人でドームへいくことになっていた

「答え」はないのに「結果」はひとつ。でもそれは、「結末」じゃない【8/9巨人戦●】

答えのないものを好きになってしまったよなあ、と、思う。でも、答えがないのに、結果はひとつなのだ。それは時に、とても残酷だ。 答えがあるのなら、それに向かって努力すればいい。例えばそれが遠回りでも、いつか答えには必ずたどり着く。それは「答え」だから。数学であればどれだけ難問であっても、答えはひとつだ。 だけど野球において、答えなんてものはきっと存在しない。投手交代のタイミングも、守備固めのタイミングも、もちろんスタメンも、ひとつのエラーもひとつの失点も、そのどれが「間違い」

だけどベテランにしかできない仕事がきっとある【8/8阪神戦●】

(※ベテランというのはきよしのことではありません、念のため) 阪神ファンの「あと一球!」コールが神宮に響く。ライトスタンドからは負けじと「奥村コール」がかかる。だけど阪神ファンの声に、ヤクルトファンの声はかき消されそうになる。昨日と一昨日は気づかなかったけれど、球場は結構な黄色に染まっていた。広島戦の赤ほどではないけれども、まあこれは、結構、黄色だ。 友人の息子くんが夏休みの自由研究に各球場の特徴について調べていて、神宮の特徴について聞かれたけれど、「多くの場合、ビジター

188cmの19歳と、167cmの39歳と。【8/7阪神戦◯】

「カツオさんを「生きる見本」だと言う、田畑さんのコメントを見かけて、そうだよなあ、生きる見本だよなあ、と、改めて思う。 打ち込まれる日もあった。イニングの途中でマウンドを降りることもある。でもそれでも、何度も何度もそこに戻ってくる。その度に、少しずつ、あらゆる調整をして、考えて、考え抜いて。 その小さな身体で、それを短所ではなく、長所にでもするかのように。みんなが持っているものはないかもしれない。でもだからこそ、みんなができないことが、できるのだ。ないものを長所にする方法

おっくんの笑顔が「本当に」チームを救う、それは優しい一勝だ【8/6阪神戦◯】

半月ぶりに戻ってきた東京には、ようやく夏が来ていた。暑いねえ、と、言いながら、ビールを飲む。神宮には、夜の風が吹き抜けていく。 どれだけ負けている試合でも、この空気があればなんとなく、救われるような気がしていた。それは、去年も、一昨年も。 だから5回裏、花火が上がるのを見上げながら、「まあ、良いか、負けても。花火は今年もきれいだし」と、私は思った。久々の神宮は、目の前の試合が負けていてもやっぱり、私の好きな場所だった。 だけど今日のヤクルトは、久々に、「花火の時間を過ぎ

さよならだけが、人生だけど【8/4中日戦◯】

とうとう、パイナガマビーチでぷかぷか浮きながら、iPhoneで試合を見るようになってしまった。波にたゆたいながらヤクルトたちを見ていると、まあたいていのこと(エラーやミスや失点や…)はどうでもよくなるなと思っていると、ヤクルトは今日も元気に先制された。 うむ、やっぱりどうでもよくはない。18時台ではまだまだ明るい、宮古の空を浮き輪から眺める。明日にはこの島を発つけれど、ここにいる間とにかくヤクルトはよく負けた。本当によく打たれ、よく負けた。人生はとは負けることの連続なのだよ