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【2019シーズン】ヤクルトスワローズ観戦記

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ヤクルト観戦記、2019年シーズンはこちらにまとめて入れていきます。(オープン戦含む) 勝った日も、負けた日も、試合のある日は毎日更新しています。
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#セパ交流戦

きらきら光る、雨粒を見ていた【6/24オリックス戦●】

振替試合の月曜日。天気は雨。 神宮はガラガラだった。まあ、そりゃあそうだ。なかなかこんな日に、さあ野球を見に行こう、とは思いつかない。 青汁のcmが静かに響く。元広告営業としては、このガラガラデーのスポンサーが「ヤクルトの青汁」でよかったよな、と思わず考える。もし仮に初めてのクライアントだったりなんてしたら、私は後日どんな顔をして担当者に挨拶にしに行けばいいかわからない。考えただけで呼吸が早くなるぞ。 …と、全くする必要のない心配をするくらいには、ほかに考えることがなか

その「気持ち」は少しずつ何かを変えていく【6/23ロッテ戦○】

ロッテの地響きのような応援が、神宮に響き渡る。そうかバットを使わない拍手だけでの応援なんだな、と気づく。そこもまた新鮮に聴こえる一つの理由なのだろう。 珍しく三塁側内野席で観戦していたら、三塁上のエイオキとレアードが、にこにこずっと何かを話していた。身振り手振りを交えて、とても楽しそうに。その新鮮な組み合わせに、思わずこちらも笑ってしまう。 こうしていつもと違う風景を楽しめる交流戦も、もうすぐ終わりだ。パ・リーグはやっぱり強くて、とにかく打たれまくっていた。でも年に一度だ

若手たちの躍動とともに、ベテランもきっと成長していく【6/22ロッテ戦●】

びっきーが、ゆっくりとバッターボックスにむかう。何か背負って歩くその姿を見ていたら、涙が溢れてきた。 ・・・いやバッターボックスに向かうびっきーを見るだけで涙が出てくるのはちょっともうどうかしている。まだ、4回裏の場面である。4回裏で、すでに0-4だったけれども。 そしてびっきーはその打席で、なんと1死満塁からタイムリーを放った。満塁から!タイムリーを!打てるなんて! びっきーが背負うであろう色々を思いながらその打席を見ていた私は、びっきーのその1本に感動してしまい思わ

不寛容な世界の、平等な場所で【6/21ロッテ戦⚫️】

8点だか9点だか10点だか11点だかをとられたイニングのあと、通路を歩きながらむすめに「明日はママと二人で神宮だよー」と言うと、むすめは「やったー!」と、にこにこ言った。うしろを歩いていた、赤ちゃんを抱っこした外国人のパパさんが、むすめを真似して「ヤッター!」と叫んだ。私は赤ちゃんがつけていたつば九郎のスタイを見て「そーきゅーと!」と言って笑い、外国人のパパさんは「カノジョもね!」的なことを言って笑ってくれた。 みんなにこにこしていた。まったくヤッターでもそーきゅーとでもな

いつまでも「ルーキー」ではいられない、その世界で【6/20ソフトバンク戦⚫️】

そこに立つだけでわくわくさせてくれるルーキーが、結果を残す立派な戦力として期待してしまうようになるまでには、どんなきっかけや流れがあるのだろう、とふと思う。今や村上くんは、すっかりそんな存在になっている。 去年、てっぱちがどれだけホームランを放っても、同点や逆転のタイムリーを放っても、サイクル安打まで達成しても、それでもまたすぐに逆転されてしまう試合を見ながら、このまだ25歳の若者が放つ1本を、先輩たちは必死に守ってあげなきゃいけないよな、と、私は思った。25歳なんて、本当

エースはそこで、孤独と戦いながら投げ続ける【6/19ソフトバンク戦○】

いつもなら絶対にここでしていた失点を、踏ん張れなかった局面を、なんとか、なんとか踏みとどまって、最後まで守り抜いた。何度も何度も、「これはいつものやつ…」という悪い記憶が思い浮かんでは、それを乗り越えた。それは何とか、何とかつかみとった、大切な一勝だ。 競り勝つことができなかった。そこで踏みとどまることができなかった。作戦は、継投は、いちいち裏目に出た。でも今日は、とにかく踏みとどまることができた。みんななんとか、なんとか耐え続けた。エラーをしても、チャンスで点が取れなくて

「世界最強」を目指すチームに、今日も勝てないけれど 【6/18ソフトバンク戦⚫️】

「世界最強」の旗がレフトスタンドにはためく。もちろん、ソフトバンクの応援団の旗だ。「目指せ、セ・リーグ最下位脱出!」と思っている現在の私は、自分の志の低さを深く反省する。目指す高みが全く違うのである。 ホームランというのは、あちらの景色とこちらの景色が、見事に違って見えるよな、といつも思う。野球は裏と表のスポーツだ、と、私はまた実感する。 相手チームが放つそれは、もちろん、1発でこちらの心を折ってくる。(なのに4発もあびるだなんてなかなかのものだ。)反対に、こちらが放つそ

負けてもやっぱり、野球は楽しいのだ(何回目だこのセリフ!)【6/16西武戦⚫️】

「西武球場前駅」に電車が着こうとした時、むすめが「まま!どーむみたいなやねがみえる!あれかなあ!」と言った。 「いやいや、駅から結構歩くってグーグルマップに出てるから、それはまた別の建物だと思うよー」と答えながら私は荷物を整理した。 ところが駅から出た瞬間、目の前に、ドームは現れた。まじか。さすが堤帝国である。毎日毎日、神宮までの銀杏並木をせっせと歩く身としては「改札出たらすぐ球場」感に心底驚いた。(ところでなんでグーグルマップは駅から徒歩17分って出たのだろう…堤帝国の

そこで長く、投げ続けるために【6/15西武戦○】

連敗はたまたまの負けが連なってしまっただけだ、と、言い続けてはいたけれど、やっぱり今日みたいな展開で、8回の悲しい空気が、そのまま9回にも暗い影を落とし、静かに負けていく、というのが連敗中のチームだったように思う。 だから今日、言いようのない8回裏の悲しい気持ちを抱える中で、もらったチャンスをしっかり生かして繋いでいけたことが、とにかく、とにかくうれしかった。代打の荒木は今日も最高の仕事をし、そしててっぱちは調子がなかなか上がらない中で、しっかり犠牲フライを放った。 それ

その1本のヒットに夢を託して 【6/14西武戦⚫️】

いつだって、どんな時だって、どんな試合だって、そこで「見どころ」を探していた。見どころとはすなわち、希望だ。それは小さくても大きな希望だ。 たいしは、とにかくずっと打てなくて、やっと出たと思ったヒットまでご丁寧に相手のエラーに修正された。 あの日、ヒットがエラーに訂正された阪神戦で、最初にヒットランプがついた時、たいしはとてもとても嬉しそうに笑った。とてもほっとした表情に見えた。だけどそれがエラーになり、まだベース上で、修正されたことを知らないたいしを思うと、むしょうに悲

梅雨にも晴れ間はのぞき、そして必ず明けるから【6/13楽天戦○】

梅雨入りして数日が過ぎると、今度はすっかり雨が降らない日が続いたりする。梅雨に入ったことを忘れてしまう。雨って降るんだっけな、という気にすらなってくる。そしてヤクルトは、今日は勝つ。(なんと。) 「2点先制しても絶対追いつかれる気がする」し、「逆転されてしまうと二度と点は取れない」と思わされる昨今のヤクルトである。雄平の久々の2ランに小さくガッツポーズしながらも、どうしても安心できず、案の定3点を取られた時にはああ試合終了だ世界の終わりだ…と、思っていた。逆転するところなん

ぐっちは「天津飯!」と叫び、慎吾は黙々とバッティング練習をする【6/12楽天戦⚫️・ファーム巨人戦○】

慎吾はそこで、一人黙々とバットを振っていた。 ジャイアンツ球場は、室内練習場が見学できるようになっていて、上から覗き込むようにしてバッティング練習を見ることができる。こんな贅沢なことなかなかないけれど、その見学通路にはなぜか誰もいなくて、一人で慎吾のバッティング練習を見ていた。 一球一球、ものすごいスピードで、慎吾はバットを振る。こちらに伝わってくるその気迫がものすごくて、私は写真を撮ることもできなかった。手軽にスマホをそちらに向けるなんてしちゃいけない気がした。なんだか

痛みを抱えてもまた、そこに立つ事から始めるしかないのだ【6/11楽天戦⚫️】

ジャイアンツ球場で、後ろに座ったおじさんたちが、松本友くんを見ながら「でもあの100番台の背番号の子とかはさ、この二軍の球場に立てるだけでもうれしいんだろうね」と話していた。 そうだよな、と私は思う。もちろん、誰もが目指すものはもっともっと上だろうけれど、プロの公式戦のグラウンドに、そこに立てる、それがまず素晴らしいことだ。 センターフライをうまくキャッチしたぐっちに、なっしーが笑顔で頭を下げる。ぐっちも笑う。ぐっちはしょっぱなからヒットを打ち、盗塁をし、二打席目でツーベ

負けても、痛くても、切なくても、寂しくても、いつか終わりが来る場所でも、それでも【6/8オリックス戦⚫️】

「きらきらのやつ、ぴんくもあるのかなあ・・?」と、君がきらきらだよという顔をして、むすめがつぶやく。去年は雨の中、「さむい・・ひじき(ねこ)さわりたい・・・」とつぶやいて、パパと早々に退散したむすめが、今年は大張り切りでボディペイントの列に並ぶ。 「レディース」のために仕掛けられたあらゆるマーケティングにしっかりはまり、心底楽しそうにしている6歳女子を見ていると、素直さというのは人生を楽しむ上での最強の武器だよなと思う。つい、そういうものに身構えがちな35歳はちょっと反省す