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【2019シーズン】ヤクルトスワローズ観戦記

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ヤクルト観戦記、2019年シーズンはこちらにまとめて入れていきます。(オープン戦含む) 勝った日も、負けた日も、試合のある日は毎日更新しています。
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#広島戦

成長してゆく若手たちと、去りゆくベテランと【9/16広島戦◯】

今年、ちょうど一年前の今日の試合を、何度も何度も思い出した。 村上くんが初めてお立ち台に立った日、初めてのサヨナラホームランを打った日、二打席連続ホームランを打った日。もちろん、打っても打っても勝てなかった日も。そのたびに、この日の試合を思い出した。目の前ですっと、ライトスタンドに飛び込んできたあの弾道を。 今日、外野から眺める視線の先には、外野を守るおじさん三人がいて、さらにその向こうに、21歳の奎二くんがいて、18歳の村上くんがいた。 後ろをおじさんたちがしっかり守

田川くんの7年が、決して無駄ではなかったように【9/15広島戦◯】

どれほど「8点差なんてセーフティリードではない」とわかっていても、人間というのは愚かな生き物なので、8点を取った時点でついテンションが上がってしまう。 そうだよねカツオさんだってそうだけれども苦労人の田川くんにだってしっかり勝ちをつけてあげたいよね今日は大事な日だよね!!と、思う。 が、そういう愚かな驕りを、ヤクルトというチームはしっかりと諭してくれる。8点差?そんなものはないと思えと小学生で習いましたよね?と言わんばかりに、じわじわと点差を詰めてくださる。 8-0だっ

同期たちはにこにこと、ヤクルトの試合を見ていた【9/5広島戦●】

二ヶ月前に取るそのチケットが、どういった試合になるのかは、もちろん全くわからない。勝つのか、負けるのか、暑いのか、寒いのか、雨なのか、晴れなのか。 それは劇的な勝利を見せてくれるチケットかもしれない。とんでもない逆転負けのチケットかもしれない。そもそも試合が中止になってしまうかもしれない。それは終わるまで、全くわからない。 それでも二ヶ月前から私たちは、その試合を楽しみに待つ。良い試合になればいいな、と思いながら。 今回は、大阪の同期が出張で東京へやってくるのに合わせて

てっぱちが年に一度見せてくれる、その笑顔を【9/4広島戦◯】

盗塁の時にはオーラを消しまくり「まるで幽霊」と言われる背番号1は、今日は9回裏、満塁のチャンスで抜群の存在感を見せつけた。それはもう、スターにしかできない仕事だった。 試合がないこのあいだの月曜日、私はなんとなく、去年てっぱちがサヨナラHRを打った時の動画を延々とリピートしていた。あの時、てっぱちははにかんだような笑顔で拳を突き上げ、ダイヤモンドをゆっくり回った。それはとてもとてもとてもいい笑顔だった。 今年、てっぱちが打っても打っても、勝てない試合が続いた。ダイヤモンド

7点差を逆転されるでもなく、ノーノーされるでもなく、淡々と負ける日に【9/3広島戦●】

「まいはいっつも、なんというかこう…あたりさわりのない、『いい人』を好きになるよねえ…」と、よく言われてきた。自分でもまあ、「いい人」と付き合ってきたよなあ、と思う。浮気に悩まされるとか、モラハラめいたことをされるとか、束縛されるとか、まあそういうことはこの人生で皆無であった。そもそもこんな自分勝手な人間が、束縛するような人と付き合うなんて無理なわけだけれど。 さてヤクルトは今日、淡々と負けていった。13点取られるとか、ノーノーされるとか、とったらすぐ取り返されるとか、7点

いつだってハクナマタタ、と歌いながら【8/22広島戦◯】

お盆明け、息子は初めて一人で新幹線に乗り、京都のじいじのおうちへ行った。 車掌さんは見送りながら泣きそうになっている私にも、一人でにこにこしている息子にもめちゃくちゃ親切だった。 「みんな優しい!」「西日本で配っているスタンプカードと東日本で配っているスタンプカードを特別にどっちもくれた」車内の息子からは、メールがたくさん送られてきた。心配したこちらの気も知らず、めちゃくちゃ楽しそうである。初めて一人で買ったマンゴーアイスは、「僕のスイーツランキング第5位」だったらしい。

現実は、思い描いたハッピーエンドばかりではないけれど【8/21広島戦●】

もしこれが3時間の映画だったら、と、思う。クライマックスは、たぶん先週の試合だ。カツオさんがノーノーまであと一歩という素晴らしいピッチングで、野手たちは打ちに打ちまくった。カツオさんのこれまでの苦悩と、そして努力と、チームの思いがぎゅっと詰まった試合だった。 その二日前、村上くんはサヨナラ2ランを放った。一日前の試合では、一点差の試合を勝ち切った。そしてカツオさんの試合があった。その三連戦は、それまでのミスも、エラーも、失点も、あの日の悔しさも、サヨナラも、大量失点も、全部

とんでもない男性につかまってしまった女性の話【8/20広島戦●】

想像してみてください。 あなたの目の前には一人の男性がいます。そこそこ、いけめんです。スポーツはめちゃくちゃできる。その男性はかわいい笑顔であなたに寄ってきます。「ビールが半額だよ」とか「花火が綺麗だよ」とか言いながらあなたを誘い出します。 早速彼は、とても優しい言葉をあなたにかけます。「今日は勝てるかもしれない。」そうです、出会ってすぐです。出会ったばかりです。それなのにあなたのために1点を捧げてくれます。夢へと続く道のようです。 さらに彼は、あなたにもっと高級なプレ

平和を祈る島で、ヤクルトを思う【7/28広島戦●】

そのイニングを見ている時には、なんで四球だらけ。。と、思って大きなため息をつくのに、マウンドを降りるその表情が映し出された瞬間、気持ちはそのピッチャーもっていかれる。 それはこのチームを、そしてこのチームで投げることになった人たちを、好きになってしまったからなんだよな、と、民謡居酒屋の「和おん」に向かう車の中で私は思う。 もっと言えば、そのチームを好きになった人たちのこともまた、好きになってしまったからなのだ。なっしーを思う、誰かを思う。そうすると急に、胸が痛む。窓からは

目の前の不完全な景色は、不完全な私の投影かもしれない【7/26広島戦●】

カレー屋さんは、15時にしまっていた。 今日は美味しいカレーをテイクアウトをして、夕日を見ながら晩ご飯にしよう。と、決めていた私たちはしばし唖然とした。 グーグルマップによると、開店時間は11時となっている。なんと、4時間しか開いていない。 と、まあ、この島にいるとこんなことがしょちゅうある。お気に入りのおそばやさんは、週末はもちろん、連休にも閉まってしまう。書き入れ時じゃないかと思うのだけれど、そんなもの多分関係ない。そもそも連休も週末も、こちらの都合といえばこちらの

壁にぶつかっても、考え続けるということ【7/4広島戦◯】

3回以降、全くスコアが動かなかった試合の9回表、何としてでも追加点が欲しい無死1,3塁というチャンスで、エイオキはしっかり犠牲フライを放った。 「青木のようになりたい。」 と、私は先輩たちとのLINEグループに送った。 すると、続く村上くんは1死2塁からしっかりタイムリーを放った。 「村上くんのような子どもを育てたい。」 と、私はLINEグループに送った。いつも志が高いのだ私は。口だけは。 先輩からは「まず。熊本に行きます。」と、返信が来た。なるほど。 ここぞ、

戦い続けることで成長し続ける、その姿を【7/3広島戦◯】

※写真は自身もそれなりに戦っているねこ 「立ってるだけでももう1点が入るかもしれない・・・!」と、つい思ってしまったその瞬間だった。 村上くんの打球は、そのままスタンドに吸い込まれていく。夢を見ているのだろうか、と、私は思う。いつもいつも、この19歳は、へなちょこファンの私がささやかに期待するそのずっと上の結果を見せつけてくれる。押し出しの追加点でもいい、と考える中、村上くんは20号となる満塁ホームランを放った。 去年の9月、神宮のカープ戦で、村上くんは初めて打席に立っ

今日だって、今だけのチームの試合を楽しみに【7/2広島戦◯】

※写真はおなじみ戸田の土手です。 負けても、負けても、どれだけ負け続けても、それでも、試合が始まる時間が近づくと、今日もわくわくしてくる。ご飯の支度も早めに終えて、むすめを習い事に送り、お風呂をため、18時に備える。 マツダの試合はいつも、辛い記憶がつきまとう。大型連敗の初戦、うめちゃんのセーブ失敗、石山のサヨナラ、そして今日は赤く舞う傘。それでも、何にしても、そこで始まる試合が楽しみで仕方ないのだ。それはスポーツ観戦というものの、何だか不思議な側面だなと思う。(まあ、赤

何をやってもうまくいかない時は、誰しもあるけれど 【5/30広島戦⚫️】

ライトフライを打ち上げた青木は、悔しそうにバットを投げた。その表情は外野からは見えないはずなのに、気持ちの全部がこちらにまで届いた気がした。 そんな悔しそうな顔しないでよ、と私は思う。 感情なんてなくしてやろうと思っていたのに、悔しいと思ってしまうじゃないか。嫌いになってもいいやと思ってたのに、応援したくなってしまうじゃないか。なにも感じまいと思っていたのに、好きだと思ってしまうじゃないか。 何だ、私は今日もこの人たちに騙されるのか。 続くてっぱちがファーストゴロに倒