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毒殺倶楽部の推薦図書

毒殺倶楽部という作品は鮎川哲也賞佳作を受賞しながら、13年ものあいだ世に出ていなかった傑作ミステリということで、読み終えた時にもっと早く発売してくれていればよかったのに!と思いました。あらすじはある程度、紹介しますが、大オチについてはもちろん触れません。Twitterなどでエゴサーチもしない方がいいです。長文になりますが、お付き合いください。

学生時代のサークルOB会に参加した主人公の山下香織、ミステリー小説家になることが夢である高野祐二。2人で車に乗って帰る途中にミステリー作家の柏原壮(25)が轢かれて死んでいるのを発見する。柏原壮は『毒殺倶楽部』という作品を書いた新人作家である。『毒殺倶楽部』は祐二が読んで面白いと思った本で、香織に貸していたがまだ読んでいなかった。柏原壮の遺体からはアルコールが大量に検出されていた。ネットでは『毒殺倶楽部』と同じ殺され方ではないかと話題になっていた。香織は家に帰り『毒殺倶楽部』を読み始める。
ここからは小説内の話になります。
------------------------------------------------------------------------------------小説内ではマリオという人間が毒に関することをネットに少し書き込んでアドバイスを待っていた。毒に対して詳しいノームという人間がアドバイスをしている。一方の現実世界では。ミステリーワールドの編集長の大沢という人間から連絡があり、事件のことを聞きたいという。大沢は柏原壮を担当していた。祐二は過去にミステリー小説を持ち込んだ事があり、親しくなって仕事を手伝うようになっていた。小説の世界ではマリオとノームが意気投合し待ち合わせをして会うことになる。科学雑誌のサイエンスを持ってある場所に集合としておいた。ノームが待ち合わせ場所にきたが、マリオは遠くから眺めていて声をかけようとした瞬間、黒縁メガネをかけた真面目そうな中学生だと気付く。他の中学生数人に囲まれてどこかに連れられていく。年配の紳士が中学生数人に何をしていると声をかけ、友達だと言い張る中学生。襲いかかってくる中学生の手首を取り、こらしめる。太った中学生が体当たりして倒れる年配の紳士。そこにマリオが駆けつけて声を上げたところ警察官が来る。警察官を読んだのは中年の女性である。中学生は逃げていった。中年の女性は看護師で、年配の紳士は柔道の有段者だった。マリオは中学生に脚を蹴飛ばされていた。雑誌サイエンスが目印になっていたため、マリオとノームが待ち合わせするのを知っていた年配の紳士は気になって見に来たという。その話を知った看護師も興味を持ち、今から話をするのについていきたいという。そのやりとりを見ていたOLもついていきたいという眼差しを送っていると誘われる。マリオ、ノーム、老紳士は有段者なので黒帯のオビ、看護師はナース、OLは胸にスズランのブローチをしており、それを英語にしたところリリー・オブ・ザ・バレーのため略してリリーと呼ぶことになった。こうして『毒殺倶楽部』の誕生となった。お互いのプライベートや本名には触れず、連絡先の交換もしない。第2日曜日の同じ時間に集まることになった。場所はその都度変えることにした。これ以上メンバーを増やしたり、会合以外で接触しない、話す内容は秘密、ルールが破られたら解散ということに全員合意した。マリオから提案があり、毒に関する物語を作ってきて順番に発表するというもの。最初はリリー、オビ、ノーム、ナースが物語を発表していくがそれぞれの物語は途中までで完結していなかった。【物語については作中でご確認下さい。】

最後はマリオだが、マリオの話は他のメンバーから酷評される。
(現実世界の香織もマリオの話を酷評していた。)

さらに読み進めると小説内の毒殺倶楽部にマリオが会合に来なくなったという。小説「ポイズンクラブ」が推理小説新人賞を受賞して立花隆一郎がデビューした。受賞者の写真を見たメンバーらはマリオが立花隆一郎だと知る。『毒殺倶楽部』内で話したことが「ポイズンクラブ」に採用されており後半部分はかなりの加筆がされている。毒殺倶楽部は小説内の小説で現実の話ではない。それぞれの登場人物の素性が書かれていないため、架空ではなく実話のように感じられる。

立花は2作目を期待されるようになる。2作目を出したが編集者からは駄作と言われた。読者は期待して購入。1作目よりは売り上げは落ちた。そして、立花は失踪した後に轢かれて死んだ。立花の遺体からは大量のアルコールと農薬が検出された。
ポイズン倶楽部の作者の遺体から毒物が検出されたので他殺ではないかと注目される。ポイズン倶楽部は小説の中の話であり、実在もしていない。他殺を示す証拠もなかった。だが、ファンは納得しない。ポイズン倶楽部は実在してメンバーから消されたのではと推測されるようになった。

--------------------------------------------------------------------------------------小説内の事が現実に起きて現実世界の『毒殺倶楽部』という作品を書いた柏原壮が殺されたのか?

あとは作品を読んでお楽しみください(^○^)

長々となりましたが、この『毒殺倶楽部』という作品はあらすじや紹介をする際、他人に説明すると非常に難しいと思います。あまり核心には触れてはいけないけれど、何それ?話が意味不明って事だと読んでみようということにはならないため『毒殺倶楽部』を推薦図書にしようかどうか迷いました。それでも、この作品が面白かったため推薦させて頂きました。現実世界と小説の世界のどちらを読んでいるかわからなくなる可能性もあるため、一気読みをオススメします。一気読みができない場合は、誰がどういう人物で、どういう話をしたかをメモしておいた方がいいです。読みごたえは抜群なのでじっくり読みたい方にはオススメです。『毒殺倶楽部』が読みづらいと感じる方もいますが、読書する側にもちょっとは頭を使って読んでほしいという挑戦でもあるような気がします。こっちはまだまだ読んだ本が100冊未満ですが理解できました。少しでも皆さんのお気に入りになればと思います。読みづらい文でも最後までお付き合い頂きありがとうございました。

それでは、また。




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