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#67 ザ・ストラッツ『プリティー・ヴィシャス』

服部さんへ

 まずは、個人的にうれしい報告を。ここで「スキ」はいただけていないblink-182ですが、全米チャート1位です。このご時世で、ドレイクを抑えて、です。ポップ・パンク万歳!
 というわけで、ジョルジャ・スミスですが、一目惚れならぬ一聴惚れでございます。微妙に湿り気を帯びた歌声と、レビューにもあったビート使いが、めちゃくちゃいいですね。肌の色は黒のようですが、ルーツがどこにあるのか興味が募ります。J Husなるフィーチャリング・アクトとの絡みも、素晴らしいです。「GO GO GO」のアコギの入れ方しかり、プロデューサーの貢献も大きいのかもしれませんが、なんかとてもセンスを感じさせる人だと思いました。何気にウィキを見てみたら、それこそドレイクの曲で客演もしているんですね。お見逸れいたしました。
 彼女、まだ日本デビューしていないようですね。自分が無意識に、日本デビューをひとつの尺度にしていたことに、最近気がついたのですが、色眼鏡は外すことにします。ジョルジャ・スミス。出会えてよかった。

#67 ザ・ストラッツ『プリティ・ヴィシャス』

 ブリンクの全米1位を祝して、というわけではないが、オーセンティックなロック繋がりということで、よきタイミングで届いたザ・ストラッツの新作をご紹介。
 とにもかくにも、オープ二ングを飾るリード・トラック「トゥー・グッド・アット・レイジング・ヘル」を、ご一聴いただきたい。身も蓋もない言い方をすれば、これが好きならザ・ストラッツが好き、嫌いならザ・ストラッツが嫌い、ということだ。それくらい、バンドの特徴、魅力が凝縮されている1曲なので。

 まばゆいばかりにロックが輝いていた、70年代の空気感を、絶妙なバランス感覚でまとわせたサウンド・プロダクション。ライヴを想起させる、熱を帯びた演奏。身も心も踊らせる、ポップでキャッチーなメロディ。行儀よくマジメなんてクソくらえ(©️尾崎豊)な猥雑さ。ちょっとちょっと、最高じゃないの。ロックンロール万歳! 
 そう、イタリアのマネスキン がこれだけ世界中でウケているということは、ウマいもんはウマい(©️笑福亭鶴瓶:しつこくて失礼)ということ。ストーンズの新作も全英1位になっているし、ロックが死ぬ、なんてことは断じてないのである。
 いやしかし、この原稿も『プリティー・ヴィシャス』を聴きながら書いているのだけど、終盤のバラードまで本当に、尋常じゃなく、素晴らしい楽曲ばかりです。
                              鈴木宏和


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