子供の頃から文具や紙が好きで、文房具屋ばかり覗いては、可愛いメモやカラフルなペン、レターセットなどをちょこちょこと買い集めていた。毎週土曜日はスイミングスクールに通っていたんだけど、その帰り道に寄り道できるところに、子供向けのそういう雑貨ばかりのお店があって、毎回時間が許す限りそこに入り浸ってた。ひとつ買い足す度に、少しだけ幸せが増すような感じがして。結局あんまり実用品としては使わなかったような気がするけど。

中学生になっても収集癖は相変わらずで、カラーペンを全色集めるのに燃えたりしてた。際限ないので最近はセーブしてるだけで、そういうオタク的な収集癖は今でもあんまり変わってないかも知れない。

紙が好きなのが高じて、印刷物にも興味を持った。紙とインクの組み合わせが好きで、色んなフライヤーやフリーペーパーを集めてみたり。

今はもうなくなった文化かも知れないけど、15年前くらいは、オタクが同人誌即売会などのイベントで同人誌以外に作るものと言えば、ラミネートカードや同人便箋など、紙もの雑貨が主流だった。子供でも手が出せる、安価で可愛い雑貨たちを買い集めてはコレクションしていた。今では商業の漫画家さんになった方々が、そうやって描いていたものをひたすら集めて買い漁っていた。特に、便箋はもはや美しいイラストを楽しむために買うもので、ほぼ使用しないという本来の用途からすると謎の状態だったけど。笑

色々ある中で、多色刷りのものが特に好きだった。多色刷りとは、何色かの色インクを組み合わせて表現するもので、この組み合わせの仕方によって独特の雰囲気のものが出来上がる。版画や浮世絵みたいな感じを想像して欲しい。

こんな感じ。これは上は「ピンク×水色」下は「赤×金」のインクの組み合わせで印刷されている。

もちろんフルカラーも美しいが、個人的にこの多色刷りの表現がとても好きだ。色の組み合わせ、紙の組み合わせ、デザインなどそれぞれに工夫がなされていて、凝った多色刷りを見かけると思わず唸ってしまう。

そんな子供の頃の好きだったものをすっかり忘れていたんだけど、最近見つけた印刷所がとても好きで。asanteで販売してるポストカードはそこで印刷している。レトロ印刷JAMさん。https://jam-p.com/phone/  孔版印刷という、少し掠れやムラのあるインクで印刷している印刷屋さんだ。これがまさにその多色刷りにとても適した印刷で、やってみたかったことを今少しずつカタチにしているところ。

先日作ったポストカードは、一度原画を描いて、それから２色刷りになるように原画を分解している。

これが原画。

刷り上がり。今回これは赤と金色の２色で印刷してる。

２色のインクのチョイスを何色にするか、紙をどうするかでも雰囲気は全然違うものになるので、まだまだ試行錯誤してる段階ではあるんだけど、刷り上がって届いた時に、仕上がりを見るのが楽しみで仕方ない。「今回この組み合わせはどんな効果になったんだろうか？」「あ、こんな感じなら、次回はこうしようかな」そういうことを考える時間がとてもおもしろい。計算式を打ち込んで、解が算出された時のような気持ちと言ったら分かりやすいだろうか。

こちらは、クラフト紙に白インクと赤インクで印刷してみた。白い雪マークがさりげなくてとても可愛いと思ってる。

印刷という遊びに今ハマっているのかも知れない。自分の好きなものや作ってみたいものを自分の手でカタチにしていくというのは、ある意味とても贅沢な遊びなのかも知れない。

旅先でなぜかガラス工芸とか陶芸体験とか作ってみたりするけど、ああいうのもあの一連の体験が楽しいんだよね。出来上がりの上手い下手や、失敗も含めて、体験なんだと思う。「疲れたけど、楽しかったね」「あそこで失敗したのウケたよね！」なんて思い出に変わったりする。

日頃からそのような感覚で生きたいなと思う。「〇〇を体験してみた」「結果こうだったけど、まぁ楽しかったね」「さぁ、次は何を体験しよう？」そのような気軽さでなんでも味わいたいなと思う。

そういう感じで最近は、紙とインクで遊んでいるのかも。

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