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バッハを聴く ヨハネ受難曲BWV245.2

バッハ・コレギウム・ジャパンによる《ヨハネ受難曲》BWV245.2を聴きに行ってきました。今回の演奏は第2稿。この曲は1724年が初演ですが、バッハの生前に少なくとも4回演奏されており、その都度手が加えられていて、今回は第2回目(1725年)の演奏なのだそうです。なかなかこの演奏はないのだそうで、とても貴重な体験です。

《ヨハネ受難曲》は、「ヨハネによる福音書」が使われていて、イエスが捕らえられるところからスタートし、埋葬されるまでの出来事を描いています。

CDなどで通常聴く冒頭の合唱は「その栄光は全地に輝いている」という宣言から始まります。「栄光」と「受難」という明暗のコントラストが打ち出されて、ドラマティックで緊迫した中にグイグイ進んでいきます。私は結構この流れが実は好きです。

《マタイ》にはアリアによる抒情的な部分が多いですが、《ヨハネ》には叙事的なところが特徴で合唱やコラールが多く、マタイより演奏時間も短いですし、どんどん物語が進んでいくので、最初に聴く受難曲としては理解しやすいのではと思いました。

さて今回の第2稿の冒頭の合唱は《マタイ》の第29曲(第一部を締めくくる)と同じものが入ります。最終曲の合唱、ペテロのアリアなどいくつかのアリアも別の作品に入れ替えられ、また多くの細かい旋律が改変され、曲全体が換骨奪胎されています。(プログラムより抜粋)
確かに、冒頭の合唱は、罪を歌いながらも優しい印象が伝わり、全く違う雰囲気で始まり、最後は清らかな空気に包まれて終わります。

《マタイ受難曲》はこの第2稿の2年後、1727年4月11日にライプツィヒの聖トーマス教会において初演されるのですが、この《ヨハネ》の第2稿が《マタイ》の作曲に繋がっていくのだと思いました。

2024年は《ヨハネ受難曲》ができて300年ということで、世界中いろいろなところで《ヨハネ》の演奏があるそうなので、機会があればまた別バージョンを聴いてみたいですね。今年はバッハに集中していろいろなコンサートに行ってみたいと思っています。

ということで、3月はいよいよ《マタイ受難曲》を聴きに行って、《ヨハネ受難曲》もまた少し理解できるのではないかと思います。またご報告させていただきます。

3つに分けて運ぶことができる移動式パイプオルガン。とても素敵な音色でした!

ps. 指揮の鈴木雅明氏は左肩を怪我されており、右手のみで指揮されました。一日も早いご全快を心よりお祈りしております。


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