バッハを聴く 音楽の捧げもの 蟹行カノン
2月17日に開演されるミューザ川崎でのコンサート「J.S.バッハの音楽の捧げもの BWV1079」に向けてミュージック・カレッジが開催されたので行ってきました。
今回は、コンサートで演奏されるミューザ川崎のホールアドバイザーでもありオルガニストの松居直美さんとバロック・フルートの前田りり子さんお二人の演奏とお話でした。
『音楽の捧げもの』は1747年、バッハが62歳の時、息子エマヌエルが仕えるフリードリッヒ大王の宮廷を訪問したことから生まれた最晩年の作品です。大王から即興演奏のための主題を与えられると、バッハは3声のフーガをフォルテピアノで演奏します。その演奏は大王やお抱えの楽士たちが息を呑むほど素晴らしいものでした。さらに、6声のフーガをリクエストされますが、その場での作曲はさすがに難
しいので、ライプツィヒに宿題として持ち帰り、13曲からなる曲集に仕上げ、大王に献呈しました。それ音楽の捧げもの』です。
この曲にはカノンが10曲も入っていて、その色々な種類のカノンの説明をしていただき、実際にカノンを3声で歌って体験してみることもした、楽しい2時間でした。
2月のコンサートはマイムもあり、身体表現も楽しめる今までにない面白そうな企画で楽しみです。
『蟹のカノン(2声の同度のカノン)』
私は初めて「音楽の捧げもの」の3曲目の『蟹のカノン(2声の同度のカノン)』を聴いた時、とにかくすごい!と驚きました。楽譜を見るとわかりますが、最初から演奏したものと終わりから演奏したものを同時に演奏してちゃんとした曲になるようにできています。各旋律が左右から進行していくところから蟹行カノンとも呼ばれていますが、透かして見える横長一段の楽譜があると仮定して、表と裏からぐるぐるまわりながら演奏すれば蟹のように横歩きでエンドレスに演奏できるという、楽譜自体がまさにメビウスの輪になっているのです。
時間を操ったカノン形式の音楽なのに、時間を超えてしまった蟹のカノン。これもバッハの宇宙的な音楽の面白さの一つだなと思いました。
下記の動画はメビウスの輪の仕組みがとてもわかりやすいです。
これを作った時、バッハはきっととても面白がっていたのではと思います。まさに天才バッハ。
前田りり子先生の演奏はとっても美しかったです。バロック・フルートについてのお話はまたフリードリヒ大王のお話と合わせて別の機会にさせていただければと思います。
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