【ある障がい者の経験談】こいつ、教師失格じゃね?

 前回、俺が女性とのコミュニケーションに過剰なほどの苦手意識を持つようになったきっかけである高校時代の担任教師の話をした。たくさんのフォロワーさんから「そんなやつが教師になってるなんて」という趣旨のお言葉をいただいた。だが実はこの男、エロ親父であると同時にハラスメント野郎でもあった。クラスメイト共々辟易していたのだ。この担任をXと呼ぶことにして、中でも強烈だったエピソードを2つほど紹介しよう。


① 女子生徒にゴリラ事件

 俺たちの先輩に、少々色黒で身体が大きい女子がいた。10年くらい前の記憶なので定かではないが、同級生女子より力も強かったと思う。いわゆる姉御肌で、みんなからの信頼も厚かった。もちろん俺たちも頼れる先輩だと思っていたし、実際に頼ったことも何度もある。
 タイトルから予想できると思うが、Xがその先輩のことを陰でゴリラ呼ばわりしていたのだ。雑談の中で普通に「3年のゴリラちゃんさぁ」という具合に。日常茶飯事である。
 俺たちもさすがにまずいとは思っていた。悪ふざけの域を超えている。しかし、相手は担任だ。下手に騒ぎ立てて、クラス内の空気が悪くなるのも嫌だった。なにせクラスには俺とXの他にもうひとりしかいないのだ。結局「本人にさえ伝わらなければ無理にことを荒立てなくてもいい」というのが俺たち生徒側の共通認識になっていった。事件が起きたのはそれから数ヶ月後だ。
 Xがその先輩の目の前で、彼女のことをゴリラ呼ばわりしたのだ。幸い本人には聞こえていなかったが、俺たちにはばっちり聞こえていて肝を冷やした。その後Xに「あれはさすがにないでしょうよ」とやんわり言ったら「ギリギリを攻めるのがギャンブルだ」と笑って返された。おそらく、聞こえるか聞こえないかのギリギリという意味だろう。
 これをきっかけに、学部主事の先生に相談した。主事は俺たちの「担任との関係も壊したくない」という希望も聞いてくれて、どうやら丸く収まったようだった。しかしそこからXの態度が改善したわけではなく、クラスメイトと「丸く収めない方がよかったかも」という議論(責任問題にした方がよかったかという意味)になったのは主事には内緒である。

② 副担任パワハラ事件

 これも結構エグい。Xが担任だった時の副担任というのが、とにかく気の弱い人物だった。しかもよくパニックを起こしてしまう。副担の先生は当時教師1年目だったから無理もないのだが、Xはその副担に「のび太」というあだ名を付けた。ちなみに俺は「ドラゴン」か「ドラえもん」と呼ばれていた。あだ名を付けること自体どうなのかといわれている時代、教師が教師に、しかも「のび太」なんてあだ名を付けるのは俺もどうかと思った。だが、事態はこれだけでは終わらない。
 副担は遅刻魔でもあった。俺たちの授業に、いつも間に合わないのだ。しかしそれはやむを得ないことでもあった。休憩時間中に、寝たきりの生徒のトイレ介助などをしているからだ。トイレ介助を終え、生徒を教室に送り届けてから教材を持って俺たちの教室へ来る。ここまでを10分でやらなければいけないわけだから、副担だけでなくいろんな先生がたびたび授業に遅れる。まあ、彼の遅刻は他の先生と比べると確かに多かったが、それも特別支援学校教師1年目ということを考えれば波風を立てるようなことではなかった。
 だがXはそれすら許さなかった。ある日急に思いついたのか、始業のチャイムと同時に教室に鍵をかけた。その上突っ張り棒まで持ち出して、どうやっても教室に入れないようにした。結局副担は10分ほど遅れてたどり着いたのだが、Xは彼を教室に入れないまま大声で叱責を始めた。10分くらいは続いたと思う。結局授業は30分弱遅れて始まった。
 これも問題にする気満々だったのだが、俺たちが動くまでもなかった。周辺の教室から「Xの大声が授業妨害だ」とクレームが入ったらしい。Xはまた学部主事にこっぴどく叱られたそうである。

まとめ

 ここでタイトルの疑問に戻る。こんなやつが教師になっていいのだろうか? しかもXは、俺が卒業するまでの間順調に出世していった。進路指導部の主任クラスまで登り詰めていた。大人の社会というものが俺にはよく分からないのだが、読者のみなさんも俺と同じ考えを持ってくれるだろうか?

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