短歌 2020年
2020/02/26 22:06
ドラレコをパンドラとせん罵詈悲嘆独語満たして会社へ向かう
2020/02/28 23:12
相談を時系列で喋る友よりも減らない私のパスタ
2020/03/02 21:54
土曜日に屑取りネット一掃し宮に仕える澱み取り去る
2020/03/07 21:25
私は紺猫の白足祖母は桃色春昼のサンダル
2020/03/23 21:18
相談できないのに140字ごとに愚痴は垂れ流せるのに
2020/03/29 15:03
スカートを穿けなくなった頃から君を歌わぬ歌をもとめてる
2020/03/30 21:54
退職願が抽斗で眠るから去年と同じ口角炎
2020/03/31 21:49
ブラジルにだって行ける気がした十六歳の手に原付免許
2020/04/02 21:31
友達と仲間の違いを教えてくれた人が友になる四月
2020/04/03 23:12
三月前に締めたボルトが緩まぬスノータイヤじゃ春へ進めず
2020/04/09 21:10
鴇色似合うあなたの指先わたしに馴染んだ素爪とつながる
2020/04/09 21:16
技士の音頭で飲み干すバリウム我のストレス白日に晒して
2020/04/09 21:19
コーラとカロリーメイトと夢があれば二十歳までなら生きていけた
2020/04/12 09:59
私とにこいちの君が結婚し彼と一対となると聞いて
2020/04/19 14:41
「生きてまた会おう」なんて戦争を知らない僕らはコロナ禍を往く
2020/04/23 21:30
コロナ禍と戦争比べる孫と白飯頬張る祖母の歴史よ
2020/04/28 23:19
傑物が白髪染めをやめたので爪を剥き出しにした鷹に見える
2020/05/05 21:32
アクセル踏めば峠を越える推進力を我が物と思い込み
2020/05/17 21:15
車線変更に成功したら社会の波にも乗れた気になって
2020/06/04 21:57
近付けば何も成しえていなかった父の享年まであと二年
2020/06/28 21:10
新就職氷河期ってわたしらはいつの間にやら古になる
2020/06/28 21:12
自らを診察台に座らせる電話かけても休診日なり
2020/06/29 21:37 【岡山空襲の日に】
あの日から七十五年経ちました十四の乙女卒寿むかえて
2020/08/10 11:24
新卒の初営業を任される癖のない客四台目選る
2020/08/10 11:26
誰のせいでもない日々は自由だろ孤独だろうね君のせいだね
2020/08/10 11:38
SEを夢見た友のホルスタインふるさとの草食み育まれ
2020/08/23 15:37
商店の引き戸がドアに変えられて表札の名に名店の址
2020/08/23 15:40
米櫃の底は容易く空になる一握の砂すら見当たらぬ
2020/11/21 20:40
これまでと四十秒で決別し旅に出られるパズーみたいに
2020/11/21 20:44
山育ちのデメリットを火に焚べて沸かしたお湯でコーヒーをのむ
2020/12/08 07:38
パール・ハーバーの日ジョン・レノンが撃たれた日わたしの誕生日
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