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文化の異なる海外で理念は伝わるのか?〜中小企業で海外10ヶ国以上で販売できた理由〜

先日、IKEUCHI ORGANICは、世界で最初のデパート”ボン・マルシェ” Le Bon Marché Rive Gauche で取り扱いが開始されたことを発表しました。

ボンマルシェは、LVMH グループで高品質の商品を厳選するセレクト系百貨店知られ、パリの人々だけでなく世界中からの観光客にも愛されています。

コロナウィルスの影響で店舗が休業したことにより導入は遅れましたが、ロックダウン解除にともない、まずは定番商品から販売が開始されました。

もともと、ヨーロッパ市場での展開は、アジアやアメリカ、オセアニアと比べるとかなり苦戦をしていました。

パリは、お店がもともと少なくバイヤーも少ないのに世界中から需要があるので、現地でのネットワークがないと商品を渡すことやアポを取ることも難しいと言われています。

今回もすんなりと取り扱いが決まった訳ではなく、約3年前から海外担当がアポイントをとり(ネットワークがない中で無名企業が世界の百貨店からアポイントを取るのも一苦労です)、一度は断られましたが、なんどもレターを送り続け、ようやく取引が決まりました。

無名の中小企業のプロダクトが世界を代表する百貨店に採用される理由

前述した通り、無名企業が世界でもっとも格式の高い百貨店で採用されたのは、特別なコネクションや広告宣伝費をかけた訳ではなく、一度断られても粘り強くやり取りを続けたことに他なりません。

今回決め手となったのは、私たちのブランドに深く共感した現地コーディネーターの方と出会う事ができたからでもあります。いくら製品が良くとも、いくらコンセプトが良くとも、カルチャーが違う場所では、正論だけでは相手の心は動きません。ましてやパリはヨーロッパ・世界からいくらでも良いものが手に入る都市です。

そんな時に救ってくれたのは、現地コーディネーター(日本人)の方の熱意です。粘り強くコンセプトを伝え続けたことで、文化が異なる土地でもようやく認められることになったのです。

台湾・香港にも出店。パートナーとの協業

ヨーロッパだけに留まらず、近年のインバウンド需要とは違う形で、アジア圏からもオファーが続きます。

2019年1月頃、IKEUCHI ORGANICのホームページに突然台湾から、問い合わせメールが届きました。現地のパートナーが、台湾のお客様は、オーガニック製品 への感度が高いが、現在のラインナップでは満足できていないのでは?という仮説を持っていたそうです。

台湾のお客様に販売するハイエンドなオーガニック 商品を探していていたところ、IKEUCHI ORGANICを知り、ホームページをみて問い合わせされたようです。そこからは今治本社に来て実際にオーナーの池内と話し、工場内での製造工程を見て、この会社しかないと思ったようです。

この現地パートナーが運営する店舗は、直営店ではありませんが、オープン前のブランディングや店舗研修を時間をかけて行ったので、国内店舗とそう変わりない接客を受ける事ができます。1号店は、台湾の三越に、そして早くも2店舗目がオープンしています。

昨年度は香港でも、また別の現地パートナーがIKEUCHI ORGANIC香港をオープンさせていて、私たちのメディア「イケウチな人たち。」でも現地まで飛び、取材をさせていただきました。

子ども達から借りている地球の未来を守るために、このタオルを香港に広めたい

この2店舗に共通するのは、良くあるフランチャイズモデルのようなロイヤリティビジネスではなく、どちらもファンである取引先が主体となり立ち上げた店舗です。つまり、通常の売買契約のみで最低限のブランディング監修を留めたのみです。

もし大企業であれば現地法人を立ち上げ、社員を送り込み現地スタッフを雇い日本と全く同じ店舗を作ったことでしょう。だけど中小企業にとっては1店舗出店するだけでも、相応の投資がかかり、目の行き届かない海外での出店となると、リスクは高くなってしまいます。

それよりも国内と同じく、ファンである取引先様に店舗運営を任せて、信頼関係を築きながらビジネスを少しずつ広げていくことの方がお互いにとって負担も少ないと判断したのです。

**これからも、IKEUCHI ORGANICの海外パートナーとして

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では、なぜここまで文化も言語も異なる、海外パートナーからブランドを信じていただけたのでしょうか。最後に、香港の現地パートナーであるエドワード氏の言葉を紹介したいと思います。

"僕がIKEUCHI ORGANICで一番好きな点は、やはり持続可能性を持っているというところ。そして、香港の人々のライフスタイルに、新しい選択肢を提示できる可能性を秘めているというところです。
僕はIKEUCHI ORGANICのタオルの可能性を信じています。だから、僕自身が無理だと思うまでは、絶対に諦めない。簡単な道ではないことはわかっています。あと2年かかるかもしれないし、5年かもしれない、10年かもしれない。でも、達成できるまで続けていきますよ。この仕事に出会えて、本当によかったと感じています。"

今回のフランスでの取り扱い含めて、IKEUCHI ORGANICの製品は10カ国以上の国で取り扱いがされています。サイトのアクセスも100カ国以上からあります。これまで英語でのホームページはもちろん、プレスリリースやSNSでの発信が地道に効果として現れてきました。

海外ビジネスは資本力のない中小企業にとってはどうしても優先度が後になってしまいますが、私たちのタオルを売ることは日本の文化を伝えることでもあるので、IKEUCHI ORGANICのタオルを使う世界の人々の人生が少しでも豊かに感じることができたらこれほど嬉しいことはありません。

国内ではファンベースという考え方を元に展開していますが、海外でも基本の考え方は同じで、理念やモノづくりの背景をいかに理解していただくか。ここに時間をかけることを惜しんではいけません。このnoteが海外展開を考える中小企業にとって少しでも役に立つことを願っています。

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