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雨の日のこと。

 「となりのトトロ」を観るとき、必ず「めちゃくちゃわかるわぁ〜」と共感する場面がある。さつきが父の帰りを待つバス停ではじめてトトロに出会い、傘を貸してあげる場面だ。木の枝葉から雨の雫が傘にポツポツ落ち、その音やリズムにトトロが恍惚とする場面。人ではなく、トトロに共感してしまうのだ。

 トトロは傘を傘として使ってるわけではなさそうだが、私は雨を避けるために傘をさす。雨が傘にポツポツとあたる音が心地良いと感じる。たまに電線から落ちてくる雫や建物から落ちてくる雫のかたまりが「ブルンブン」「ボボンツン」と一定だった雨のリズムを変化させることがある。これもまた面白い。
 なので、トトロが傘にあたる雨音にほわぁぁとなるあの場面を観るといつも「わかるわぁ〜」と共感してしまう。

 旅行や屋外でのイベントがある日は別として、雨の日は嫌いではない。
 日が照りながら降る日向雨の時のにおい。
 静かに翠蓋を濡らす零雨。
 窓から眺めるなかなかやまない七つ下がりの雨。
 雨の日の過ごし方は色々だが、特に何かすることが決まってなかったとしても、雨の日の雰囲気が好きなので、雨を感じながらその日を過ごしているんだと思う。

 子どもの頃の雨の日は、ごたぶんに漏れず傘の生地を勢いをつけてバサっとひっくり返し、お皿のようにし、雨を貯めるという謎の儀式を行った。繰り返し繰り返しバサっとするものだから、傘の骨は折れ、使い物にならなくなり母親に怒られるのである。

 小学校から傘をささず、わざとずぶ濡れになって帰ったりもした。だんだん服に染み込んでいく。髪の毛から滴り落ちる雨粒。土砂降りであればあるほど楽しくなっていった記憶がある。当然ながら帰宅すると母親に「アホちゃうか」と呆れられもしたが、本人はずぶ濡れを満喫したので、おかまいなしだ。下着までずぶ濡れになっているので、肌にひっついた服や下着を必要以上にひっぱり脱ごうとするので、Tシャツの首周りや下着のゴムがだらんだらんになってしまう。そこでまた母親に怒られるのである。

 子どもの頃も、大人になってからも雨の日が嫌いではない。それなりの楽しみ方はあるのだ。ただ、嫌いではないだけで、外で遊ぶことが大好きな私は当然いつも晴れてくれることを祈っている。

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