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感想 グランド・フィナーレ 阿部 和重芥川賞受賞作品、文章の繊細さとか、ラストの綺麗な終わり方とかは好みです。


本作は芥川賞受賞作品です。
繊細な文体と、ラストシーンの見事な演出が受賞理由と思われます。

川上未映子さんの夫らしいのですが、癖があるので僕の周りでは不評です。
というか、酷評です。

伊坂さんがやたらと、この方をリスペクトしていたので、今回、試しに読んでみることにしました。

本書の主人公はロリコンの変態おやじです。
映画監督をしていたのですが、使ってた子役に手を出したり
娘を溺愛し裸の写真を撮ったり
ばれて離婚され接近禁止にされていて
田舎戻ります。

つまり、変態です。

そこで芝居を子供に教えるのです。
知り合った二人の少女が自殺を考えていて
それを思いとどまるようにと決心したところで終わります。

変態なのに、あまり変態描写がないので読みやすい。
どちらかというと、この男に感情移入しやすい。
そういう風に全体をコントロールしているのがわかります。
ようするに、変態であることを書き込んでいない。
それも意図的にです。

友人のIが来て、主人公がしたことの罪の重さをなじるシーンがある。
友達が大人に悪戯されて自殺したという話しを聞かされる。

変態は自分勝手です。
それによって傷ついた子供は、それがトラウマになることもあり自殺する子もいると聞かされます。

だから、自殺というキーワードに神経質になり
最後は、彼女たちを助けようとするのですが・・・・。

いかにもNHKの教育番組というか、芥川賞というか
文体と筆致がすごいから面白かったのですが冷静になると薄っぺらいですね
変態が更生なんかするかよと思うのですよ。
だから嘘臭く感じました。


2023 3 10



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