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感想 ヴォイド・シェイパ  森 博嗣 ミステリー作家の森さんの描く剣豪小説ですが、まるで哲学者か何かのように、常に何かを思考している、その哲学者みたいなところが何か好きです。


著者の森さんは多作の本格ミステリー作家です。
本書は剣豪小説のシリーズ一作目です。

タイトルが意味不明です。
『ヴォイド・シェイパ – The Void Shaper』
なんで英語なんだと思ってしまう。

師匠が死に、自分の出生もよくわからない主人公が武者修行の旅に出る話しです。

特徴は、主人公のゼンがやたらと思考することで、それも小難しい哲学者のようにです。
たぶん、宮本武蔵あたりを意識して描いているのかもしれない。

この言葉が気になりました。

「負けるたびに強くなれる。だが、負けたらそれでお終いだ」
この矛盾に、この道の真理があるように思えた。

これは師匠の言葉です。
失敗が最良の師匠であることは、何人もの偉人が残した言葉からも明確なのですが
剣豪の場合、負ける=死に直結します。

それでも師匠は、ゼンに、この言葉を残したことに意味があるようです。

負けることで強くなれる。勝つことでは学べないのだ。おそらくそれは、学ぶ心の問題かもしれない。

師匠の死を麓の村の道場主に知らせにいった時、そこに娘の許嫁という剣豪がいました。
その人とゼンは立ち合います。
ゼンが勝ちます。娘は、ゼンに彼が常に勝ってばかりで天狗になっていたことを教えます。
あの敗戦で彼は学んだということでした。

生命が助かったから良かったのですが、死んでいたら終わってました。
剣豪にとっての学びは生命がけということでしょうか。



2024 3 4
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