むとあらた

たまに創作

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最近の記事

【詩】 おひさまの神話

西から昇ったおひさまが東へ沈む そんな歌があったっけ それでいいんだ 僕はにんまり微笑んだ 北から昇ったおひさまが南へ沈む そんな歌を作ってみた それでいいんだ 僕は得意げに口ずさんだ 東から昇ったおひさまが西へ沈む 科学者がそう諭した それでいいんだ 彼は事実を知っている 南から昇ったおひさまが災いを鎮める 詩人がそう叫んだ それでいいんだ 彼は真実を語っている おひさまは果てしなく大きい 事実も真実も 嘘や妄想さえも 産み出し 抱きしめ 育んで それらすべての神話

    • 【詩】 ソウゾウの旅

      ソウゾウが 旅に出る カレについての モノガタリ 足もと 見つめなおすため あえて頭上を 仰いでる ソウゾウは カワリモノ 当てもないのに 月につき 虹の入江で うさぎと遊ぶ ソウゾウは ソラヲトブ 光を超えて 宙をゆき 大マゼランで 銀河を望む ソウゾウは アマカケル 自由自在に ワープして 宇宙の果てまで まっしぐら ソウゾウは ビッグバン 辿り着いたは 無の世界 すべての始まり そこに見る ソウゾウは ムゲンダイ ソウゾウどこまで 向かうのか はるか遠くに 

      • 短編小説『新しい色』をめぐって あらすじ

        「正気と狂気」というテーマをめぐる物語。 「私」はかつて興味を抱いたある短編小説の作者にインタビューすることになり、その作品を読み返す。 次に、その短編小説『新しい色』が提示される。そこでは『新しい色』を発明したと主張する新一と、そのことは驚くべき事であり、あり得ない事態でもあると認識する博士の対話が描かれる。 最後に、その短編小説の作者インタビューの模様が表される。「私」は作品のテーマは何なのかと疑問をぶつける。それに対し作者は、『新しい色』は現実にはあり得ない幻や狂

        • 短編小説『新しい色』をめぐって

          一 私と『新しい色』の出会い 私がその短編小説に出会ったのは、文芸誌nの誌面上だった。 無名の新人作家による、その作品は決して話題になるものではなかったが、私には「これはいったい何なんだ?」と興味を覚えるものがあった。 その一方で、どこか心に引っかかるものも感じた。正直何を表しているのかよく分からず、モヤモヤするものが残ったのだ。 だがその後、様々な経緯があり、明日その短編小説『新しい色』の著者である根尾アラタ氏にインタビュー取材をする機会を得たのである。 私の胸

        【詩】 おひさまの神話

          そらの向こうの小さなきみへ【詩】

          小さなきみへ ぼくんとこの仲間が きみのこと傷つけたって聞いたよ ごめんね きみから奪いさったもので なにか見つけたってはしゃいでるんだ ごめんね いけないことをしたって 気づいていないんだ ごめんね ほんとはきみのこと 好きなはずなのにさ ごめんね 二度と同じことを 繰り返さないっていえないのはつらいよ ごめんね いつかきっと彼らも 大切なものがわかると思うんだ ごめんね いまはごめんねしか いえないの ごめんね 青い色した小さなぼくより

          そらの向こうの小さなきみへ【詩】

          天使の梯子と飛行機

          天使の梯子の中を行く飛行機を見た。 いいことがありますように。

          天使の梯子と飛行機

          特別な日の3月9日【詩】

          3時9分を見るたび 思い出す あなたのバースデイ サンキュっていわれるたび 思い出す あなたのバースデイ ミックスジュースを飲むたび 思い出す あなたのバースデイ パスコードを入力するたび 思い出す あなたのバースデイ また あなたの声を聴きたくなった わたしの特別な日

          特別な日の3月9日【詩】

          カタチのないもの 【詩】

          ある人は 愛とよぶ またある人は ラヴとよぶ アモーレ とよぶ人もいれば リーベ とよぶ人もいる リゥボーフィ とよぶ人もいるという きっと おなじものなんだろう たぶん ちがうものなんだろう ぼくは なんてよぼう また きみの顔が思い浮かんだ

          カタチのないもの 【詩】

          夢見る猫【エッセイ】

          昔、猫を飼っていました。 名前はゴン。オス猫です。(見出し画像の猫です) 正式な名前はゴンですが、 私は「ゴン」または「ゴチャ」と呼んでいました。 「ゴチャ」は「ゴンちゃん」をちぢめたものです。 本人にしてみれば、 「僕はゴンなのか? ゴチャなのか? 一体どっちなんだ?」と 戸惑っていたかもしれません。 でも、そんな素振りを見せることはいっさいありませんでした。 ゴンは猫なので、しょっちゅう寝ていました。 そして、たまに夢を見ているようでした。 うにゃう

          夢見る猫【エッセイ】

          はじまりのひとこと~絵におこり絵にほれる君に~【ショートショート】

           ひょんなことから、梨緒は高校のクラスメイトである真二に誘われ二人だけで外出をすることになった。 (これはデートということになるのかな?)と梨緒は少し戸惑いつつも、とある美術館にて真二と絵画を見て回るのだった。 そんな中、ある絵の前で真二は顔つきをこわばらせて立ち止まった。梨緒は疑問を感じて問いかけた。 「この絵はどう思うの?」 「うん……。実にふざけた絵だ」 「えっ? ふざけたって?」 「ふざけている。正直、人をバカにするのもいい加減にしろって感じ」 「なっ、なに

          はじまりのひとこと~絵におこり絵にほれる君に~【ショートショート】