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夢見る猫【エッセイ】

昔、猫を飼っていました。

名前はゴン。オス猫です。(見出し画像の猫です)


正式な名前はゴンですが、

私は「ゴン」または「ゴチャ」と呼んでいました。

「ゴチャ」は「ゴンちゃん」をちぢめたものです。

本人にしてみれば、

「僕はゴンなのか? ゴチャなのか? 一体どっちなんだ?」と

戸惑っていたかもしれません。

でも、そんな素振りを見せることはいっさいありませんでした。


ゴンは猫なので、しょっちゅう寝ていました。

そして、たまに夢を見ているようでした。

うにゃうにゃ言って、口もとや体を動かすのです。

楽しい夢ならいいのですが、

怖い夢を見ていることもあるらしく、

うなされている時はかわいそうなので、

「ゴン」、「ゴチャ」と言って、

体をさすって起こしてあげました。


すると目を覚まして、なんだ夢だったのか、

とほっとしている様子でした。


ゴンがどんな夢を見ていたのか

私にはわかりません。


ゴンがそのことについて語ることは

生涯なかったからです。

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