Magazine Study vol.7

【今号の目次】
1.特別企画 対談「療法士のための哲学書の読み方」
2.6月20日のらいすた概要
3.6月20日のらいすたQ&A
4.その他のQ&A
5.今号の研究論文リスト
6.時事ニュース
7.研究アイデアをシェアしちゃいます!
8.私のオススメ本
9.まがすたでしか言えない〇〇
10.近況報告
11.次回のLive Study
12.質問送り先案内
13.署名

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1.特別企画 対談「療法士のための哲学書の読み方」
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1)哲学書はどう読むか
寺岡:哲学書の「読み方」について整理したいのですが、よろしいですか?

京極:よいですよ。

寺岡:作業療法は哲学がベースにある、というのは確定事項ですよね。

京極:はい。それはもう疑いの余地がないと思います。

寺岡:ということは、作業療法を実践するためには、テクニカルなことだけでなく、ベースにある哲学についても理解した方がいいですね。

京極:そうですね。そうしないと、作業療法の実践家は根無し草状態になって、自分たちがいったい何をやっているのかわからなくなるはずです。

寺岡:実際、作業療法が100年ちょっとの歴史で体験した2度の危機は、その哲学の理解が関連していますからね。

京極:そうそう。

寺岡:それらの危機は「作業って何だ?」ってところにつまづいたことが直接の動因で、その作業は哲学概念で作業療法の文献を検討しているだけでは底の底にたどり着けないという。

京極:はい。その辺の議論はLive Studyでも詳解したところです。

寺岡:私が難しいなぁと思うのは、作業は哲学由来の概念だと言われて、「じゃ哲学書を読みましょう!」となっても多くの人は内容が難しすぎて読み解けないんじゃないか、と思うんです。

京極:あぁ、それはそうですね。

寺岡:私は「わからん!」ってなったら、京極先生にすぐ聞ける環境なのでなんとかなるわけですけども、普通はそういうわけにいかないじゃないですか。

京極:そりゃそうですね。それに、ぼくもわからないこといっぱいありますし、誤解したかたちで理解していることもあるかもだしね。

寺岡:はい。先生はときどきまじめな顔して盛大に間違えますもんね(笑)。

京極:その通り。人間は必ず間違えるからね。迷惑をかけることになる人たちには本当に申し訳ないけども。

寺岡:人のこと言ってますが、私も例外なく間違えます(笑)。なので、大切なことは間違えながらでもよいので、難解な哲学書を読解する方法を知っておくことだ、と思うわけです。

京極:なるほど。

寺岡:その辺りの方法がよくわからないから、作業療法は哲学ベースなのに、作業療法士はその哲学をしっかり理解できていない人が多いんじゃないかなあ、と思うんです。

京極:それは鋭い指摘ですね。

寺岡:じゃ、具体的な読解方法に入っていきましょー。

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