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他者のレビューから「賢く」作品を選ぶコツ(役立つレビューとアテにならないレビュー)

皆さん、他の読者のつけた評価やレビューを見て作品を選んだことはありますか?

それで「ダマされた!」と思った経験はありませんか?

小説投稿サイトのみならず、Amaz○nさんなどの小説レビューを見ていても思うのですが…

他の読者の「高評価」に釣られて作品を読み、後悔したという読者さん、結構多いんですよね…。

また、逆に「低評価が付いていたけど、むしろ自分は良いと思う」という意見も結構よく見かけるんですよね…。

もしも小説に「絶対的な基準」というものがあり、皆がそれを元に評価していたなら、こういった「意見の違い」は出ないはずです。

なら、なぜ人によって評価が変わってしまうのでしょうか?

そもそも読者は「何」を基準に作品を評価しているのでしょう?

■結局は個人の「好き嫌い」が評価を決める

読者の評価基準は結局のところ、個人的な「好き嫌い」――その作品が自分の好みにマッチしているかどうかです。

その「好き嫌い」はジャンルや世界観に留まりません。

展開の仕方(王道の安心展開か、意外性のある先の読めない展開か)にも「好き嫌い」は存在します。
構成や文体、台詞回しや結末(ハッピーエンドかバッドエンドか)に至るまで「好き嫌い」はあります。

作者にとって「不公平」にならないよう個人の好みを排除して評価しようとしても、無意識レベルで「好き嫌い」は存在しています。

そもそも作品を「おもしろい」「つまらない」と思う感情――「好き」や「嫌い」の源が個々人の中の「好み」ですので、それを排除して評価することなど誰にもできないのです。

そして人間の好みは十人十色
どんなものを「好き」になり、どんなものを「嫌い」になるかは人によります

なので当然「ある人にとって高評価の小説が、別のある人には合わない」ということが起こるのです(そしてその逆も)。

ですが、様々なレビューや感想を読んでいると、この「好みの壁」に気づいていない方が結構いらっしゃるように見受けられます。

他人の評価・レビューをそのまま鵜呑みにして「ダマされた!」となるのは、そもそもそんな「好みの壁」の存在に気づいていない証拠なのです。

なので、評価・レビューを参考にする際には、まず「このレビュアーさんは、自分と同じ趣味の人なんだろうか?」を考えなければならないのです。

■主観的な感想より、客観的な情報から判断する

上にも書いた通り「自分と趣味の合わないレビュアー」の感想は、作品を選ぶ判断基準として全くアテになりません

しかし、そもそもそのレビュアーさんが「自分と同じ趣味を持っているのかどうか」…そこからして、短いレビュー投稿からは判断できないのが現実です。

だったら、何を参考に作品を選んだら良いのでしょうか?

自分の場合、レビュー記事から「客観的な情報」をなるべく多く拾い集め、そこから判断するようにしています。

たとえば「萌えた」「燃えた」「大満足」などは個人の「主観的な感想」。

人によって意見の変わる「趣味が違えば全くアテにならない」部分です。

ですがその感想を抱いた理由――たとえば「予想外の展開があった」「主人公がクール」「幼馴染カップリング」等々…「内容」に絡む情報は、読者が変わったところで変わることのない「客観的な情報」です。

そんな「読み手によって変わらない情報」をなるべく多く拾い集めて、それが「自分に合うかどうか」を考察するのです。

…ただコレ、書く側にとっては「客観的な情報をなるべく多く書こうとすると、うっかりネタバレしてしまうことがある」ため、なかなか書くのが難しかったりするのですが…。

ちなみに、小説投稿サイトによって、コメント欄に「ネタバレ防止機能」があるサイトと無いサイトがあります。

■良いレビュアーは「未読の読者の知りたいこと」を分かっている

レビュアーさんの中にも「好みの壁」の存在に気づいている方はいらっしゃいます。

そういう方のレビュー投稿には大概の場合「自分と趣味の違う他者に対する配慮」がにじみ出ています。

個人的にはとても好みだった」「自分はこう感じたけれど、こういうのが好きな人には好みかも知れない」…と、作品に対して感じた「おもしろい」「つまらない」を他者に押しつけないよう、言葉に気を遣ってくれているのです。

あるいは「○○好きな人には刺さる」「自分は○○好きなので、すごく良かった」など、「どういう趣味の人間に合う作品なのか」を書いてくれているレビュアーさんもいます。

(…同じ趣味でも「解釈違い」で合わないこともあるので、絶対とは言いきれないのですが…。←実際合わなかった経験アリ。)

それと、未読の読者が「迷いがちなこと」「間違えがちなこと」を親切に解説してくださっているレビュアーさんもいます。

「これは『番外編』(本編ではない)なので、これだけ読んでも分からないor独立したスピンオフなので、これだけでも読める」といった情報ですとか…

「タイトルから○○に勘違いするかも知れないけど、実際は××な内容です」といった情報ですとか…。

ナンバリングなしのシリーズものは初見だと「読む順番」に迷いがちですし、タイトルで勘違いして「本当は好みな内容なのにスルーしてしまう」ことってよくあるので、こういう情報、地味にありがたいんですよね😄

おそらく「良いレビュアー」というものは、自分の主観的な感想を「一方的に語って終わり」ではなく、「これからその作品を読む他の読者」の目を意識して、その人の参考になるようレビューを書いてくださっているのだと思います。

■「読解力」が未熟なレビュアーもいる

「趣味の合わないレビュアー」のレビューはアテにならない…と上で書きましたが…

他にも「アテにならない」レビューはあります。

それはズバリ「内容を読み間違えて書かれたレビュー」です。

皆さんも学校で国語のテストを受けて来られたでしょうから、お分かりかと思いますが…

文章に対する「理解力」「読解力」は、人それぞれ
レベルの高い人もいれば、低い人もいます。

「この人物はこの時何を思っていたか?」の問いに正解できる人間もいれば、間違える人間もいるのです。

実際、内容を知った上でレビューを読んでいると「これ、何か違くない?」という感想も時々見かけます。

「絵」がついて小説よりさらに「分かりやすい」はずのマンガでさえ、場面を読み違えているレビューを時々見かけます。

(そしてそれが理由で「最後の意味が分からない」「モヤッとしたエンディング」という意見になっているレビューも…。)

過去記事でも書きましたが、小説をどう理解したかにより、読者の評価・感想は変わります。

残念ながら、読解力の未熟なレビュアーのレビューはそもそも「内容を勘違いしている」ため、あまりアテにはならないのです…。

■レビュアーのレベルは変えられないので、レビューを見る側が気をつけるべし

全てのレビュアーのレベルが「読解力」の面でも「趣味の違う他者への配慮」の面でも最高ランクであれば良いのですが…

現実にはそんなことはなく、そもそもそのレビュアーのレベルがどの程度なのかも、レビューの読み手には分かりません。

なので、大切なのはレビューの読み手が最初からそこに注意して読む」ことです。

レビューの中には「自分とは好みが全く違う人間がつけたもの」もあります。

内容を正しく理解せずにつけられた評価もあります。

そこを忘れず、常に「半信半疑」の姿勢で臨めば「レビューにダマされた!」は減らせるのではないでしょうか?

自分ならぬ「他人」の「好き」に惑わされて「おもしろくないもの」をつかまされるのも、「他人」の「嫌い」に惑わされて「運命の一作」をスル―してしまうのも、人生のロスです。

(特に後者は致命的…。)

「小説」だけでなく他のレビューや口コミ全般においても、ここに気をつけて生きていけば、賢く人生を渡っていけるのではないでしょうか?



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