林檎

林檎少女🍎


林檎には、思い入れがあるの。
こどもの頃から、だいすきだった。

それはリンゴであり、りんごであり、時にアップルであり
身近でありながら、特別な果実。

私は冬の物語の中で、何度となく林檎に触れている。
白い雪に対比して、使いたかった真っ赤な林檎。
そういえば「あれは対比の物語だね」って言われことがあるな。

あまずっぱくて、シャリシャリしていて
まとったマントの色が綺麗で、いい匂いがして
フォルムが手になじんで、どこかやさしい君。


🍎


種類ではね、紅玉が他を圧倒的に抑えて、だいすき。
酸味が強くて、砂糖を加えたお菓子に適してると言われがちだけど
私はそのまま齧るのがすき。

秋の林檎のシーズンの中でほんの一時、君が並んでるんだ。
赤い果実って特別だよ。

あの赤の色って奇跡みたいに思えるの。
秋の赤、紅葉の葉の色を移し取った落ち着いた赤。
半分に切った形も、ハートみたいに奇跡的でナイフを取り落とす。

結婚してから、どうしてだか果実は剥かない。
私より皮を薄く剥こうとする人にまかせている。
「りんごうさぎ」も作ってもらう。 
おさらの上にちょこんと載せたら、ぴょんってはねるでしょ?

アップルパイをひっくり返したみたいなタルトタタン。
いたずらっこの仕業なのか、はたまたおっちょこちょいの
偶然できたみたいなおいしさに、みんなきっと笑っちゃう。


🍎


りんごのほっぺをした少女たちが
私の中でたくさん微笑んでいるのです。
みんな「私のことを書いて」と手を振っている。
赤いリボンが似合う女の子たち。


大人になっていくうちに、頬の紅は薄れ、透明になっていくのね。


そんな少女時代を駆け抜けた先の彼女たちを
私はいつも描いている気がします。

これからも、きっと、呼びかけてくる。


いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。