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映画『12ヶ月のカイ』成長記録|2021/05/09

「カイ」というヒューマノイドの表現について

 『12ヶ月のカイ』といえば、劇中に出てくるヒューマノイドの表現方法についてHBOドラマの『ウエストワールド』(2016〜 ※現在シーズン4製作中)を参考にしていたと以前から公言していました。映画の『A.I.』や『ターミネーター』や『EVA』同様に、生身の人間がヒューマノイドを演じる方法です。特に『ウエストワールド』の中で映し出されていた「どのように彼らが人間らしく会話をするのか」という、彼らの中身の部分にとても興味を抱き、少なからず『ウエストワールド』的なことを念頭に置きながら私は脚本を書いていました。(そして、『ウエストワールド』で言う「シナリオ」から逸脱したことが、この『12ヶ月のカイ』でも起こってしまうわけですが…)

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『ウエストワールド』の原作『ウエストワールド』を今更見た

 実は、このドラマには1973年に制作された同名の『ウエストワールド』という映画があり、この映画を元に、ジョナサン・ノーラン、J・J・エイブラムスらの総指揮により新たに制作されたのが、ドラマ版だった…ということなんですね。『12ヶ月のカイ』を撮る前に映画版も見ていればよかったんですが、まだ未見だったので、今更ながら拝見しました。

▼映画版『ウエストワールド』
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00UMBB1SW/ref=atv_dp_share_cu_r

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 なんかね…1973年当時からしたら大作SF映画なのかもしれないんですが、映画技術的なことや美術的なところですごく低予算映画みを感じてしまって、すごくB級感満載の映画に見えました…笑 ただ、あのドラマ版の原作となるだけあって、この時代にこれだけの物語を着想できたというのはまさに偉業だな…と痛感しました。カレル・チャペックの『ロボット』同様に。

 映画の後半は、ターミネーターVSサラ・コナーみたいに、追う!追われる!戦う!って感じなので、ロボット(=ドラマ版で「ホスト」と呼ばれていたアンドロイド)が何故そのような行動を取ったか…という深いところまでは描かれずに終わってしまうのですが、ここから更にあのドラマ版のような壮大な物語にスケールさせたジョナサン・ノーラン氏たちがマジですごいです。

古代遺跡みとB級映画感が同時に味わえる不思議な映画

 一言で言えば、そういう映画でした。

 カレル・チャペックの『ロボット』を意識したであろう映画『ウエストワールド』のロボットたちの描写からなんとなく系譜が感じられて、かつドラマ版の『ウエストワールド』にもそれにつながるようなものが感じられるよなぁ…と。ヒューマノイド・アンドロイド映画のルーツを感じられる、とても良い作品でした。

 ただこれも、今見たから良かったのかもしれない。『12ヶ月のカイ』を撮る前、敢えてチャペックの戯曲の『ロボット』を読まないようにしていたので、その時点でこっちの映画版『ウエストワールド』を見ても、あまり感じるものは多くなかったかもしれない。

 気が向いたらぜひ、チャペックの『ロボット』も読んでみてください。いまの時代からすると「よくあるSF物語」に見えますが、これが1920年に書かれ、しかも「ロボット」という言葉を生み出したきっかけの作品だったというのがもう衝撃的です。文庫本で、さらりと読めるので、是非。


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